
国連安全保障理事会(安保理)におけるガザ地区停戦決議案の採択が、米国の拒否権行使によって再び頓挫した。
安保理は18日(現地時間)、イスラエルによるガザ地区での軍事作戦拡大をめぐり、決議案の採択に向けて表決を行った。結果は賛成14、反対1であったが、常任理事国である米国が拒否権を行使したため、採択は不成立となった。
米国がガザ戦争勃発以降、安保理決議案に拒否権を行使したのは今回で6回目となる。安保理決議の採択には15理事国のうち9カ国以上の賛成と、常任理事国5カ国(米国、英国、フランス、中国、ロシア)のいずれからも拒否権が出ないことが条件とされている。
米国のモーガン・オルタガス中東和平担当特使代理は、採決前の演説で「米国が安保理決議案に反対するのは驚くことではない」と述べた。今回の決議案には、ガザでの戦闘の即時かつ恒久的な停戦、拘束された人質の解放、人道支援物資の搬入制限解除などが盛り込まれていた。
オルタガス特使代理は「この決議案はハマスを非難せず、イスラエルの自衛権を認めていない」と主張し、「安保理内における誤った物語を正当化し、結果的にハマスの利益につながる」と批判した。さらに「この決議案は、民間人の犠牲を代償にハマスが力を強め、富を得ることを許す失敗した体制へ戻すものだ」と述べた。
またオルタガス特使代理は「ハマスがこの戦争を始め、継続させる責任がある。イスラエルは戦闘終結に向けた条件を受け入れたが、ハマスはいまだ拒否している。もしハマスが人質を解放し、武器を捨てれば、戦争は今日にでも終わる」と強調した。

一方、他の安保理理事国からは決議案採択の不成立に対する遺憾の声が相次いだ。アルジェリアのアマール・ベンジャマ国連大使は「安保理はガザ住民に何の助けにもならなかった」と述べ、「許してほしい」と繰り返した。英国のバーバラ・ウッドワード国連大使も「イスラエルによる無謀な軍事作戦の拡大は、人質の帰還やガザでの苦痛を終わらせる合意からますます遠ざけている」と指摘した。
ハマスは、安保理決議案不成立に強く反発し、米国を非難した。アラブメディア「アルジャジーラ」によれば、ハマスは「(イスラエルの)大量虐殺犯罪へのあからさまな共謀だ」と激しく反発した。リヤド・マンスール国連パレスチナ大使も「安保理決議案は最低限実現されるべき措置を盛り込んでいた。それすら否決されたことは極めて遺憾で痛ましい」と失望感を示した。
今回の安保理決議案採決は、イスラエル軍がガザ最大の都市ガザ市の制圧を目指し、地上作戦を本格化させる中で行われた。イスラエル軍は15日夜からガザ市への進軍を開始し、空爆の規模も拡大している。
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