
欧州連合(EU)27か国の首脳が、最近相次いで発生する「ドローン(無人機)出没」への対応策を議論する。EUによると、来月1日(現地時間)にデンマークの首都コペンハーゲンで開催されるEU非公式首脳会議では、防衛力が最優先議題として提示されたという。
EUの高官は29日、記者団に対し、最近頻発するドローンに関する問題は欧州各地で発生する可能性があるが、特に東部戦線において明確な脅威が確認されたと述べ、この問題が優先的に議論されると説明した。
今月10日、ポーランドは自国の領空に侵入したロシア製ドローン数機を撃墜した。その後、ルーマニア、エストニアなどでロシアの戦闘機やドローンがEU加盟国の領空を侵犯する事件が相次ぎ、緊張が高まった。会議が開催されるデンマークでも、1週間のうちに全国の空港や軍基地で正体不明のドローンが出没した。
今回の会議でEU首脳は、最近行政機関である欧州委員会が提案した、ドローンの探知・追跡・迎撃を実現するいわゆる「ドローン・ウォール(Drone Wall)」の構築について集中的に議論する見通しだ。すでに26日には欧州委員会主催で10か国の国防相による初会合が開催された。27か国が集まるため、参加意向を示す国がさらに増える可能性がある。
EUが「再武装」の目標時点として定めた2030年まで、加盟国全体の防衛力強化に関する議論も予定されている。特に来月24日に再び開催されるEU首脳会議において、欧州委員会が発表する2030年までの欧州の防衛方針をまとめた白書を具体化するための協議も予想される。
欧州委員会が今回の首脳会議を前に加盟国へ共有した白書関連の「見通し文書」によると、ドローン防御網に加え「東部戦線監視」、「防空シールド」、「防衛宇宙シールド」などが、欧州全体の脅威に備えるための4大推進プロジェクトとして予告されているという。
白書には、欧州の防衛産業育成のためのEUレベルでの直接投資検討のほか、防衛産業に関する補助金規制の見直し、AI・ドローン・衛星など次世代軍事技術確保に向けた計画も盛り込まれる予定だ。欧州委員会は、加盟国間の戦力格差を最小化するための方策も推進すると説明した。

EUは経済共同体でありながら自前の軍事力は持たないが、ウクライナ戦争勃発以降、安全保障上の不安が高まる中、加盟国の国防費調達のための財政手段を緊急に整えるなど、防衛力の強化に注力している。
最近相次ぐ領空侵犯事件により危機感が高まっている側面もある。一部では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国である米国の消極的な姿勢が欧州の不安をあおっているとの分析もある。
米国のドナルド・トランプ大統領は、ポーランド領空へのロシア製ドローン侵入事件直後に「誤りだったかもしれない」と述べ、先週には「NATOがそれに対して望むことを実現できるよう、米国は引き続きNATOに武器を供給する」と語った。トランプ大統領の発言についてAP通信は、「ほとんど米国がNATO加盟国ではないかのように述べた」と指摘した。

首脳会議場周辺の警備が一層厳重になった。デンマークはドローン出没による混乱を最小限に抑えるため、今週中に全国で民間ドローンの飛行を全面禁止した。違反した場合、2年以下の懲役または罰金が科される可能性があると、デンマーク政府は警告している。首脳会議場周辺の道路も規制される。
ドイツ、フランス、スウェーデンはデンマークに対ドローン装備やレーダーなどの軍事装備を提供し、NATO枠組みではドイツ海軍のフリゲート艦「ハンブルク」を派兵した。来月2日にはEU首脳に加え、欧州内のEU非加盟国の首脳が参加する欧州政治共同体(EPC)会議も開催される。
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