今後、米国全土のショッピングモールや店舗でも、ドローン(無人機)を活用して窃盗犯を直接追跡できる見通しだ。これまで米国の警察にドローンと犯罪検知システムを提供してきた「フロック・セーフティ(Flock Safety)」が、自社のドローンを民間警備会社にも提供することを、IT系メディアのギズモードが報じた。

警察によるドローン活用が増加する中、今回の動きで民間企業も同様の技術を導入する可能性が高まった。しかし、ドローンが公共分野だけでなく民間のセキュリティ現場にも普及することで、プライバシー保護団体は米国が監視社会に陥る恐れがあると警鐘を鳴らしている。
フロックセイフティ航空担当副社長のラフール・シドゥ氏(Rahul Sidhu)は、「警備責任者は管轄拡大、予算削減、人員不足の中で、より広範な安全を求められている」と述べた。同社は「ドローン1台で約5.6㎞の半径をカバーし、最大45分間の飛行が可能」と説明し、「これにより、倉庫、鉄道ヤード、病院、港湾、ショッピングモール、ビジネスセンターなどで迅速な対応が可能になる」と強調した。特に小売店に適しており、組織的な小売犯罪が依然として深刻な課題になる中、ドローンによる迅速な対応が長期的なコスト削減に繋がる可能性があると述べた。
フロックセイフティのドローンプログラム責任者であるキース・カウフマン氏は、あるメディアとのインタビューで「店舗の警備チームが窃盗犯の逃走を確認した場合、屋上で待機しているドローンを起動できる」とし、「映像および熱画像カメラを搭載したドローンは、徒歩または車で逃走する窃盗犯を追跡し、撮影した映像は企業の警備チームを経由して地域警察に直接送信される」と説明した。
フロックセイフティの技術はすでに複数の警察署で導入されている。今週、同社のナンバープレート自動認識カメラが、テキサス州エルパソにおける殺人容疑者の逮捕や、コロラド州ボルダーで行方不明の10代の少年の発見に貢献した。
しかし、この技術に反対する声もある。イリノイ州エバンストン市のアレクシ・ジアヌリアス国務長官は、フロックセイフティが米税関・国境警備局(CBP)に車両ナンバープレート読取データのアクセスを提供していた事実を確認した後、フロックセイフティが設置した18台のナンバープレート読取機の撤去を命じた。
米自由人権協会(ACLU)の上級政策アナリスト、ジェイ・スタンリー氏は、近年の警察および民間セキュリティ分野でのドローン利用拡大を受け、プライバシー保護に関する厳格な対策の必要性を訴えている。スタンリー氏は最近のブログで、「ドローンが大規模監視に使用され、頭上を飛び回るカメラが日常になる状況は、悪夢のような事態だ」と述べた。
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