
「女性の方が男性より長生きする」よく知られたこの現象の背後にある「本当の理由」を解明する新たな研究が注目を集めている。
10月1日(現地時間)、英紙『デイリー・メール』は、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所による最新の国際研究を紹介した。研究チームは、男女の寿命の差を説明する鍵として「異型接合性性理論(Heterogametic Sex Theory)」を提唱している。
この理論によれば、男女の染色体構造の違いが寿命差の主な原因とされる。男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持つ「異型接合性」であるのに対し、女性はX染色体を2本持つ「同型接合性」である。
女性の場合、片方のX染色体に突然変異や欠陥があっても、もう一方がそれを補う働きをする。しかし、男性はX染色体が1本しかないため、遺伝的欠陥に対して防御力が弱く、病気や障害の影響を受けやすいという。
研究を主導したフェルナンド・コルチェロ博士は、「異型接合性が寿命差の重要な手がかりになる可能性がある」としたうえで、「進化の過程で形成された他の要因も同時に作用していると考えられる」と補足した。
この傾向は人間に限らない。研究チームが世界中の動物園で飼育されている528種の哺乳類と648種の鳥類を調査したところ、哺乳類の72%、鳥類の68%でメスのほうがオスより長生きしていることがわかった。同研究所のヨハンナ・スターク博士は、「基本的に、同じ遺伝子が2つある方が1つだけの場合より有利だ」と説明。また、「Y染色体は長い反復DNA配列を含むことが多く、それが有害に働く可能性もある」と述べている。
ただし、例外も存在する。鳥類や昆虫、爬虫類の一部では、オスの方がメスより長生きする種も確認されており、寿命の差は生物の種類によって異なる可能性があると研究チームは結論づけている。
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