労働市場に下振れリスク···10月の利下げを強く示唆

ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、今後数カ月以内にFRBの保有資産を減らす量的引き締め(バランスシート縮小)を終了すると予告した。これは約3年ぶりの金融政策転換となる。
パウエル議長は2025年10月14日(現地時間)、米ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催された全米実体経済学会(NABE)年次総会での講演において、「十分な準備金条件に合致すると判断する水準をわずかに超えた時点でバランスシートの縮小を停止するという、以前から計画していた方針通り行う」と述べた。さらに、「今後数カ月以内にその水準に近づく可能性がある」と述べ、幅広い経済指標を注視していることを強調した。
量的引き締めとは、FRBが保有する国債および住宅ローン担保証券(MBS)を売却するか、満期後に再投資を行わないことで市中銀行システムの預金(準備金)を吸収する金融政策である。FRBは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック直後の2022年6月に量的引き締めを開始した。これは、パンデミック期に供給した資金を回収する目的であった。量的引き締めの過程で、2022年4月には8兆9,655億ドルに達していたFRBの保有資産規模は、2025年10月8日現在で6兆5,908億ドルまで縮小している。
パウエル議長は、金融政策の転換の背景について、「2025年8月まで失業率は低水準にあったが、雇用の伸びは急速に鈍化した」と指摘した。また、「インフレは緩やかに続いているものの、労働市場には下振れリスクが存在する」と述べ、慎重な対応の必要性を示した。
ニューヨーク・タイムズは、政府のシャットダウンにより9月の雇用統計を含む主要データの発表が遅れているにもかかわらず、FRBが10月および12月のFOMC会合で追加利下げを行う可能性を示唆したと報じた。フィナンシャル・タイムズも、「0.25ポイントの追加利下げに十分な根拠があることを示す強いシグナル」と分析している。
今年の金利を決定するFRBのFOMC会合は、10月28~29日と12月9~10日に渡り、2回予定されている。10月14日にシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が発表したフェドウォッチによると、FF金利先物市場では、10月会合で政策金利が0.25ポイント引き下げられる確率を95.7%、年末までに0.50ポイント引き下げられる確率を94.6%と織り込んでいる。
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