
米議会上院がドナルド・トランプ米大統領による世界のほとんどの国に対する相互関税の課税停止を求める決議案を可決した。米上院は本会議で「グローバル関税課税のために宣言された国家非常事態を終了する共同決議案」を採決に付し、賛成51票、反対47票で可決した。与党の共和党から決議案共同提案者のランド・ポール議員とミッチ・マコーネル前院内総務、スーザン・コリンズ議員、リーサ・マーカウスキー議員らが民主党議員と共に賛成票を投じた。
この決議案は4月に否決されたものと同じで、当時は賛成49票、反対49票の同数になり、上院議長を兼任するJD・ヴァンス副大統領が反対票を投じて否決された。しかし、この決議案は共和党が多数を占める下院を通過する可能性がほとんどなく、両院を通過してもトランプ大統領が拒否権を行使するため、効力を持つ可能性はほとんどないというのが米メディアの見方である。
決議案には、トランプ大統領が4月2日に米国の貿易赤字などを理由に行政命令で宣言した国家非常事態は、当該決議案の発効日から終了すると明記されている。これに先立ち、トランプ大統領が韓国などアジア歴訪に出発した今週、上院ではトランプ大統領の関税政策に反対する決議案がさらに2件可決された。
28日にはブラジルに対する50%関税課税を終了する決議案(賛成52票・反対48票)が、29日にはカナダに対する35%関税課税を終了する決議案(賛成50票・反対46票)がそれぞれ可決された。
政治専門メディア「ザ・ヒル」は、今回の決議案可決についてトランプ大統領の貿易政策を批判する側にとって象徴的な勝利だとしながらも、マイク・ジョンソン下院議長(共和党・ルイジアナ州)が下院で採決に付す可能性は低いと分析した。また、トランプ大統領が自らの権限を制限するいかなるものにも拒否権を行使することは明らかであるため、実質的な効果はほとんどないだろうと指摘した。
 
            


















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