
ドナルド・トランプ米大統領の相互・フェンタニル関税の行方を決める連邦最高裁の初の口頭弁論が5日(現地時間)にワシントンD.C.で行われた。政府側は敗訴すれば米国が他国の貿易報復措置にさらされると主張し、原告側は「関税は税金であり、課税権は議会にある」と反論した。主要海外メディアは、最高裁判事らが「トランプ関税」に懐疑的な反応を示したと分析し、ベッティングサイトでは一時トランプ政権の敗訴確率が90%まで急騰したと伝えた。
この日の主要海外メディアによると、弁論は約3時間行われ、政府側からはスコット・ベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官、ジェイミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表が傍聴したという。これに先立ちトランプ政権は、数十年続いた米国の貿易赤字やフェンタニルによる米国人の死亡急増などを根拠に、米国が国家非常事態にあると規定した。したがって、「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づき全世界に15%の相互関税、中国とメキシコ、カナダなどにフェンタニル関税を課した。
これに対し米国内の一部中小企業は、IEEPAは大統領に輸入を「規制」する権限は与えるが、関税を徴収する権限まで委譲していないとして訴訟を起こし、第一審と控訴審はともに原告勝訴の判決を下した。
この日、政府側代理人のD・ジョン・サウアー法務次官は、トランプ大統領が非常権限を行使したのは、米国の貿易赤字が米国を経済・国家安全保障的な災害寸前の状態に追い込んでいると判断したためだと強調した。そして関税の課税が米国と他国の貿易交渉の決着に役立ち、これを撤回すれば「米国をはるかに攻撃的な国々の容赦ない貿易報復にさらし、経済及び国家安全保障の観点から破壊的な結果をもたらす」と主張した。
一方、原告側代理人のニール・カティアル弁護士は「議会がIEEPAを制定する際、いつでも、どの国でも、どの製品でも大統領が勝手に関税を決定し変更する権限まで与えたと見るのは説得力がない」と反論した。
注目すべきは最高裁判事らの反応だった。CNN、ニューヨーク・タイムズ(NYT)などは、保守派の判事を含む多くの判事らが、非常事態を根拠に無制限の関税を課すことができるという行政府の主張にかなりの疑念を示したと報じた。保守派のジョン・ロバーツ最高裁長官は「関税は米国民に税金を課すことであり、これは常に議会の核心的権限だった」と述べた。また、関税を発動できる権限を大統領が議会から明示的に与えられる必要があるという見解を示し、これに対してサウアー法務次官が否定的な態度を示すと「主張が不適切だ」と指摘した。さらにトランプ政権1期目に指名された保守派のエイミー・コニー・バレット判事も「なぜこれほど多くの国が相互関税の対象にならなければならないのか説明してほしい」と述べた。
ただし、保守派のブレット・カバノー判事は、過去の下級審裁判所がリチャード・ニクソン前大統領の類似の法律に基づく関税賦課を認めた前例があるとし、これは議会が大統領に非常事態に適切に対応できる手段を提供しようとしたものと解釈できると述べた。米インターネット専門メディア「アクシオス」は「口頭弁論は判事らがどのように判決を下すかを示す完璧な指針ではない」とし、最終判決に対する拡大解釈を警戒した。
この日、ベッセント長官は弁論後、FOX Newsとのインタビューで判決結果に対し、「非常に楽観的」だと述べた。最高裁が違法判決を下した場合、既に徴収した関税をどう還付するのかという質問に「そのような事態になれば対処するが、そんな必要はないと確信している」と強調した。
しかし、ベッティングサイトではトランプ関税が最高裁によって取り消される可能性が高い状況だ。日本経済新聞によると「PredictIt」で弁論開始から1時間でトランプ政権に不利な判決が出る確率が60%台から90%台まで急騰したという。他のベッティングサイト「Polymarket」でも「最高裁がトランプ関税を支持する」確率は弁論開始前の52%から、その後18%まで急落し、午後6時30分(米東部時間)現在26%を指している。

















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