
米インディアナ州で清掃業務中だった女性が、誤って別の住宅を訪れた際、家主に銃撃され死亡する事件が発生した。正当防衛を認める同州の法律が適用される可能性があり、検察が加害者の起訴をめぐって慎重な判断を迫られている。
8日(現地時間)、インディアナ州ホワイツタウン警察によると、今月6日午前7時頃、同市内の住宅玄関先で清掃業者の従業員マリア・フロリンダ・リオス・ペレスさん(32)が銃撃され死亡した状態で発見された。ホワイツタウンはインディアナポリス近郊の人口約1万人の小都市である。
警察の調べによれば、リオス・ペレスさんは清掃業務中、誤って別の住所の住宅を訪れた際に被害に遭ったとみられている。事件当時、夫のマウリシオ・ベラスケスさんも同行していた。ベラスケスさんは地元テレビ局『WRTV』に対し、「妻とともに玄関先に立っていたが、妻が撃たれたことに気づいたのは、彼女が私の腕の中に倒れ込み、血を流し始めたときだった」と証言した。
彼は「なぜ警察を呼ぶ前に、いきなり撃ったのか」と強い憤りを示した。発砲は玄関の内側から行われ、夫妻が家の中に侵入していなかったことが確認されている。
4人の子を育てながら、7カ月間清掃業務で生計
ベラスケスさんによると、夫婦は約7カ月にわたり家庭清掃の仕事に従事してきたという。また、リオス・ペレスさんの兄が開設した寄付ページによれば、彼女はグアテマラ出身で4人の子どもを育てる母親だった。
遺体は母国で埋葬される予定で、現在オンライン上で葬儀費用の支援募金が行われている。地域コミュニティも今回の事件に深い衝撃と悲しみを示している。

警察は加害者の身元を公表しておらず、「複雑かつ敏感で、現在も捜査が進行中の事案であるため、現時点で情報を開示することは適切ではない」とコメントした。
捜査資料は8日、ブーン郡検察局のケント・イーストウッド検事に引き渡された。しかし同検事は、起訴判断は容易ではないとの見方を示している。
イーストウッド検事は、この事件が城の法則(Castle Doctrine)の適用を検討すべき典型的な事案に当たると説明した。同法は、自宅に対する不法侵入が合理的に疑われる場合、致死的手段を含む武力行使を認める州法である。
また、インディアナ州ではスタンド・ユア・グラウンド法も施行されており、正当な理由で居る場所で脅威を受けた際、退避義務なく武力を行使することができる。全米では31州が類似の法律を採用していると、全米州議会議員連盟は指摘している。
イーストウッド検事は、発砲直前に何が起きていたのかを明らかにするため、目撃者の証言記録や玄関先のドアカメラ映像を「秒単位で精査する必要がある」と強調した。
繰り返される悲劇 過去にも類似の事件
米国では過去にも類似の事件が相次いでいる。2023年には、誤って別の住宅の呼び鈴を押した16歳の少年が家主に銃撃され死亡した。発砲した80代の男は有罪を認めたものの、判決が下る前に死亡した。
また同時期、友人宅を訪れる途中に車で別の住宅の敷地に誤って入り込んだ20歳の女性が、家主に散弾銃で撃たれ命を落とした事件もあった。この事件では、加害者が第2級殺人罪で有罪判決を受け、25年の禁錮刑で服役している。













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