
「45歳まで生きているべきではなかった…大変ご迷惑をおかけしました」
安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也被告(45)が20日、初めて証言台に立った。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への深い恨みが、いかにして犯行へと至ったのかを自ら語る初の機会となり、世間の関心が集まった。
『フジテレビ』によると、山上被告は黒のセーターにベージュのズボン、眼鏡姿で奈良地裁に入廷した。自身の成育過程や犯行に至る経緯について、終始落ち着いた様子で説明したという。母親に関する質問に対しては、複雑な心境を語ったと『読売新聞』は伝えている。
山上被告は「母の信仰が原因で事件を起こした。その責任を母も感じているのではないかと思う」と述べた。そのうえで「母が基本的には悪い人間ではないと思うが、旧統一教会に関しては理解しがたい一面があった。あれほど多額の献金をしなければ、それでよかった」と語った。
これまでの審理では、弁護側証人として被告の母親と妹が出廷し、母の信仰の影響で家庭環境が大きく揺らいだことが明らかになっている。母親は1991年に旧統一教会に入信し、1998年頃までに約1億円を献金したとされる。山上被告が2002年に自衛隊に入隊した頃、母親は自己破産した。
祖父が孫のために残そうとしていた財産も献金によって失われ、すでに成人していた子どもたちに対しても、韓国訪問の費用や生活費を繰り返し求めていたとの証言があった。2005年には、山上被告が保険金の受取人を兄と妹に変更した後、自殺を図ったことも明らかにされている。兄は2015年に自ら命を絶った。
争点は、こうした成育環境が犯行の動機形成にどの程度影響したかだ。母親はこれまでの公判で「献金に没頭し、子どもたちを放置してしまった。自分が加害者だと思っている」と述べている。
安倍元首相は2022年7月、奈良市で参議院選挙の街頭演説中に山上被告に銃撃され、死亡した。山上被告は殺人や銃刀法違反などの罪で起訴されている。正式な裁判は先月末に始まり、判決は来年1月21日に言い渡される予定である。

















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