
欧州連合(EU)が欧州内ロシア凍結資産1,400億ユーロ(約25兆3,360億円)をウクライナに支援しようとした計画の実現可能性が徐々に低下している。Newsisの報道によると、米トランプ政権がロシア凍結資産を米国主導のウクライナ再建事業に投入する意向を示した上、ロシア資産の大半が預けられている金融機関まで直接反対の立場を明らかにしたためだ。
26日(現地時間)、英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、ベルギーのブリュッセルに本社を置く預託機関「ユーロクリア」が、「(ロシア資産貸出構想を)EU外では『没収』と見なされ、債券投資家を不安にさせる」とし、「欧州の投資環境を悪化させる可能性がある」との立場を欧州委員会に伝えたと報じた。
ユーロクリアのヴァレリ・アーバンCEOは、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とアントニオ・コスタ欧州理事会議長に「(ロシア資産貸出で)生じるリスクコストの上昇は、すべての(EU)加盟国の借入コストを高め、投資家はこれを『没収』と認識し法治主義が損なわれると見るだろう」と懸念を示した。
ドイツのドイチェ・ヴェレ(DW)によると、ロシア国外資産約2,092億ユーロ(約37兆8,823億円)のうち約1,800億ユーロ(約32兆5,947億円)はベルギーに預けられているという。残りの金額はフランスに約190億ユーロ(約3兆4,406億円)、ルクセンブルクに約100億ユーロ(約1兆8,108億円)が保管されていると伝えられている。
FTは、「ユーロクリアは『ロシアの報復と法的紛争が発生する可能性があり、この場合EUが補償しなければならない』とし、加盟国がユーロクリアに賠償金を支払う財政的リスクを負うことになると主張している」と伝えた。
一方、トランプ政権がロシア側と協議して作成したとされるウクライナ終戦案にも、ロシア国外資産凍結を即時解除する内容が含まれている。終戦案の草案28項目のうち14項目によると、ロシア凍結資産のうち1,000億ドル(約15兆6,260億円)は米国主導のウクライナ再建事業に投資し、米国は収益の50%を確保するという。残りの凍結資産は米ロ共同投資機構に投入する。欧州はウクライナ再建投資に1,000億ドルを負担すると規定している。
米国はこのような文案が最終案ではないことを強調し、ウクライナ・欧州側と協議を続けている。しかし、トランプ政権がロシア資産を自国の必要に応じて使用する意志を示したため、EUがこの資金を計画通りに使用することは難しくなったとの分析が出ている。
実際、ベルギー政府の関係者も終戦案草案について「この資産が(米国の)平和計画で重要な役割を果たすことは明らかだ」とし、「ユーロクリアに預けられた資金は使用可能な状態でなければならない」と述べ、「我々の懸念と立場は変わっていない」と明らかにした。
欧州委員会はひとまずロシア資産活用が避けられないという点を強調し、ベルギーの協力を呼びかけている。フォン・デア・ライエン委員長は26日、「ウクライナを支援するために最大1,850億ユーロ(約33兆5,000億円)規模のロシア資産を使用する提案を出す準備ができている」と述べた。カヤ・カッラス外交安全保障上級代表も「『賠償貸出』はEUが2027年までウクライナ財政支援の約束を履行する最も確実な方法だ」と再度強調した。
しかし、Euractivによると、ベルギー側は、「法的・財政的リスクを同じように共有し、他のEU加盟国内に保管されているロシア資産を活用しない限りこの計画を支持できない」という立場を貫いている。
これに先立つ23日、欧州委員会は首脳会議でロシアの戦争賠償金支払いを前提に凍結資産1,400億ユーロをウクライナに貸し出す案を議論したが合意に至らなかった。EUは12月19日に開催される次回首脳会議でロシア資産貸出論争を終結させる意向を示しているが、現時点では容易ではないと見られている。
フランス、バルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)、デンマーク、ドイツ、アイルランド、ポーランド、オランダ、イタリアなど多数の加盟国はロシア資産活用以外の方策がないという立場だ。ただし、これらの国もベルギーの同意が必要だと考えている。
















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