ロシア、停戦協議の中で占領拡大を加速…ウクライナ東部の軍事拠点が陥落危機
ウクライナ侵攻後で最速の進撃
ドンバス全域占領目標の総攻勢
ロシア、トランプ新安保戦略「歓迎」

ウクライナ東部ドネツク州の激戦地で軍事上の要衝とされるポクロウシクが、ロシア軍に陥落する危機にあると、英紙テレグラフが6日に報じた。ロシア軍は侵攻初期を彷彿とさせるスピードで進軍しているとされる。米国が仲介する停戦協議が続く中、ロシアが東部ドンバス(ルハンシク州、ドネツク州)全域の掌握を目指し総攻勢に出ているとの見方が出ている。
テレグラフは、ポクロウシクがまだロシア軍に完全に占領されたわけではないが、陥落まで長い時間はかからないとの見通しを伝えた。2日、ロシア国防省がポクロウシクを制圧したと主張し、市中心部に国旗を掲げた写真をSNSに投稿したが、ウクライナ軍は「市街地での戦闘が続いている」として否定している。ロシア軍は近郊のミルノフラドをほぼ包囲し、南部ザポリージャ州でも進撃を続けているとされる。
フィンランドの軍事分析企業ブラックバード・グループのエミル・カステヘルミ氏は米紙ニューヨーク・タイムズに「ロシアが優勢に立っており、ロシアが降伏を迫れるほどウクライナの戦力が弱まっているように見える」と述べた。ポクロウシクはかつて約6万人が暮らす産業都市だったが、戦争でほぼ破壊され、現在はロシア軍のドンバス支配と西方への進撃を阻む補給拠点となっているという。
ロシアは今秋に入り占領拡大の速度を上げている。テレグラフが7日、戦況追跡サイト・ディープステートの分析を紹介した結果、ロシアが11月に占領したウクライナ領土は約518㎢で、10月の約2倍に達していた。米シンクタンク戦争研究所(ISW)は「ロシアのウクライナ侵攻開始から約4年の中で、最速の進撃速度に近い」としている。
一方、ロシアは米国のドナルド・トランプ政権が最近発表した国家安全保障戦略(NSS)について歓迎の意向を示した。ロイター通信によると、クレムリン(大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は7日、NSSがロシアを直接的な脅威と位置付けず、ウクライナ侵攻の責任に言及しなかった内容が「我々のビジョンと多くの点で一致している」と述べたという。また、NSSに盛り込まれた米国が北大西洋条約機構(NATO)を「同盟」として扱わないとの認識について「励みになる」と評価した。ロシアが米国のNSSを称賛するのは初めてだと報じられている。















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