米国で「ロシアの影響力を認めよ」という流れに連日歓迎
欧州には「敵対的措置には報復で応じる」と猛攻

セルゲイ・ラブロフ露外相が、ドナルド・トランプ米大統領について「ウクライナ戦争が不可避だった理由を理解し始めた唯一の西側指導者だ」と評価した。
ロシアのタス通信やRTなどによると、ラブロフ外相は10日(現地時間)、連邦上院で行った演説で「トランプ大統領は、ロシアが提起してきた対立の根本原因を解決しなければならないという点を認めた」と述べ、このように語った。
ラブロフ外相はさらに、トランプ大統領が政治的・外交的手段でウクライナ紛争を解決するための対話に関与しようとしている点を「高く評価する」と強調し、「彼は人権に気を配る唯一の西側指導者だ」とも付け加えた。ラブロフ外相の言う人権問題とは、ウクライナ政府によるロシア語話者やロシア正教会信者への弾圧を指しているとRTは補足している。
ウラジーミル・プーチン露大統領が主張してきた「戦争の根本原因の解消」の核心は、北大西洋条約機構(NATO)の勢力圏を後退させるとともに、ウクライナに対するロシアの影響力を認めるよう求める点にある。
トランプ政権は最近、こうしたロシア側の主張に一定程度沿う立場を示し、ウクライナと欧州に譲歩を迫る形で早期終戦を促している。
トランプ大統領は9日に公開された米政治専門メディア「ポリティコ」のインタビューで「ロシアが優位に立っており、それはこれまでも変わらなかった。ロシアははるかに大きく、はるかに強い」と述べ、ウクライナは和平案を受け入れるべきだとの考えを示した。
同時に「ウクライナ国民と軍の勇敢さや戦闘力など、あらゆる点に大きな敬意を抱いている」としつつも、「どこかの時点では規模が勝敗を決める。ロシアは途方もない規模の国だ。本当に信じ難い数字だ」と強調した。
5日に公表された米国の新たな国家安全保障戦略(NSS)でも、ロシアを「米国に対する脅威」と位置づける記述は一度も登場しない。その代わり、「ウクライナ戦争によって多くの欧州人がロシアを実存的脅威とみなすようになった」と記されている。
同戦略のウクライナ戦争に関する部分では「欧州側の非現実的な期待」を指摘し、米国を欧州の同盟国というより、ロシアと欧州のあいだを仲裁する「調停者」として位置づけている。またNATOについても「絶えず拡大し続ける同盟という枠組みから脱却すべきだ」と言及した。
ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官は、この新NSSについて「おおむね、われわれのビジョンと一致していると言える。モスクワはこれを前向きな変化とみている」と述べ、異例の歓迎コメントを出した。ラブロフ外相も10日の演説で同様の認識をあらためて示した形だ。
ラブロフ外相はさらに「ウクライナ情勢に対する西側の立場は一枚岩ではない」と指摘し、トランプ政権の路線に反発する欧州各国を強く批判した。
ラブロフ外相は「モスクワは欧州と戦争する意図はまったくない」としながらも、「欧州の軍事力をウクライナに展開する動きやロシア資産の差し押さえなど、あらゆる敵対的措置に対抗する準備はできている」と警告した。
そのうえで「欧州は(ウォロディミル)ゼレンスキー・ウクライナ大統領をあおり立て、キーウが『最後のウクライナ人』が倒れるまで戦いをやめないよう仕向けることで、和平合意を意図的に妨害している」と非難を強めた。














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