紙のお面で顔認証突破 出勤代行に批判噴出

中国の地域行政組織で、職員が同僚の顔写真を紙に印刷して「マスク」にし、顔認証による出勤管理をすり抜けていたことが分かり、波紋を広げている。1人が複数人分の出勤を代行して記録するなど、組織的に勤務を抜けていた疑いがある。
10日、香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によると、中国・浙江省温州市の居民委員会で、職員らが同僚の顔を紙に印刷して被り、顔認証システムを回避していた。居民委員会は中国で最も末端に位置する都市行政組織で、自治組織に分類される。職員は公務員ではなく、政府給与ではなく手当を受け取るとされる。
問題が表面化したのは、住民の李氏が10月、複数の職員がこの方法で勤務を抜けているとして上級機関に通報したことがきっかけだった。李氏は、居民委員会の事務局長が職員らを主導し、顔認証による出勤管理を欺いたと主張している。職員らは同僚の顔を紙に印刷してマスク状に加工し、1人がそれを着けて複数人分の出勤を代わりに記録したという。
不正の様子は、出勤記録機の上に設置された監視カメラに録画されていたとされる。ただ、関与した職員の人数や、通報者が監視映像をどのように入手したのかなど、詳細は明らかになっていない。政府は通報を受理し、31日までに調査結果を通知すると回答したという。
一方で、紙に印刷した顔で顔認証をどう突破できたのか疑問視する声も出ている。これに対し現地の一部報道では、オンライン通販で10〜40元(約220〜880円)程度の安価なオーダー印刷でも、機種によっては認証を通過する例があると伝えている。低解像度で動作する顔認証機器では、印刷物で回避できる可能性があるという。
この報道を受け、ネット上では批判が相次いだ。ある投稿では「これは腐敗だ。全員を解雇し、法的処罰も受けるべきだ。職に就けず苦しむ人がどれだけいると思っているのか」と怒りをあらわにした。別の投稿でも「1日10時間以上働く人もいるのに、8時間すら働きたがらない人がいる」との声が上がった。
一方で、居民委員会の職員に決まった時刻での出勤記録を求めること自体が不合理だとの指摘もある。「居民委員会の職員は家庭訪問や住民対応が仕事で、出勤記録システムは終日オフィスに座っている人向けだ」との投稿もあった。













コメント0