「16日午前0時をもって『後発地震注意情報』は終了」

初めて発表された「後発地震注意情報」は、懸念された大地震が起きないまま終了した。ただ、関係機関や専門家は「強い地震の可能性がなくなったわけではない」として、引き続き備えを続けるよう呼びかけている。対象海域では地震エネルギーが蓄積しており、「いつ強い揺れが起きても不思議ではない」との見方も出ている。
内閣府と気象庁は、16日午前0時をもって注意喚起期間を終えたと発表した。気象庁は8日、本州東北部の青森県沖で起きたマグニチュード7.5の地震を受け、通常より巨大地震(マグニチュード8以上)の発生可能性が高まったとして、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を出していた。この制度が導入された2022年以降、注意情報の発表は初めてだった。
ただし、警戒を緩めないよう注意が促されている。気象庁大規模地震調査室の武田潔室長は、青森県東方海域の地震活動は時間の経過とともに減少傾向にある一方、8日以前と比べると地震回数はなお多いと説明し、当面は同様の状態が続くとの見通しを示した。気象庁によると、8日夜から15日午後6時までに、青森県沖の地震を含め計41回の地震が観測された。
専門家は、注意喚起が過度な表現ではないとみる。今回の震源から南東へ約220kmの三陸沖には、大きな地震を起こし得る領域があるとされる。この海域では1968年にマグニチュード7.9、1994年にマグニチュード7.6の地震が起きており、強い地震が周期的に発生し得るとの指摘がある。

毎日新聞は、1994年の地震から30年が経過した現在、再び地震を起こすエネルギーが「満期」に達している可能性があると報じた。東北大学で海底測地学を研究する富田史章氏は、南北方向の断層すべりが進み、地震を引き起こす力が強く働いている可能性があるとして、同規模の地震が起きやすい状態になっているとの見方を示した。
加えて、プレート(地殻の板)がゆっくりすべる「スロースリップ」にも注目が集まる。スロースリップが起きる周辺では地震が発生しやすいとされる。東京大学地震研究所の内田直希教授は、青森県沖の震源域では約2年、三陸沖の震源域では約3年の周期でスロースリップが確認されているとしたうえで、発生期にはそうでない時期に比べ、マグニチュード5以上の地震が起きる確率が最大6.2倍に高まる可能性があると推計した。2011年3月の東日本大震災の際にも、複数の地域でスロースリップが同時に起きていたことが確認されている。
一方、注意情報が1週間出ていたにもかかわらず、備えが十分に進まなかった可能性も示された。東京大学の総合防災情報研究センターが10日、11日に20〜69歳の646人を対象に行った調査では、注意情報を知っていた人は74.8%に上った。ところが、津波に備えて避難経路を確認したとの回答は7.2%にとどまり、避難態勢を維持したと答えた人も14.1%だった。













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