
米国とイランが一時停戦に合意したことで、北海ブレント原油などの国際指標価格は一定の落ち着きを見せている。しかし、アジア諸国における原油需給の逼迫は、解消の目処が立たない状況が続いていると、ロイター通信が11日に報じた。
市場調査会社Kplerの集計によれば、4月のアジアの原油輸入量は日量1,922万バレルにとどまる見通しである。これは第1四半期の平均(日量2,500万バレル)を大幅に下回る低水準に沈んでいる。原油の流入減少は製油所の稼働低下を招き、石油製品の出荷量も激減。Kplerの予測では、4月の輸出量は661万バレルと、2月の1,110万バレルから約40%も減少する見込みだ。
特に、原油価格そのもの以上に石油製品の市況悪化がアジア経済に暗い影を落としている。シンガポールのジェット燃料価格は先月30日、1バレル242.06ドルを記録し、史上最高値を塗り替えた。紛争前(93.45ドル)の2.5倍以上に達したこのコスト増は、域内の航空・物流網を麻痺させかねない水準である。
この異常事態の背景には、ホルムズ海峡の封鎖による物流寸断がある。中東の生産・輸出拠点が直接的な打撃を蒙り、アジア向け供給能力が著しく減退したためだ。市場関係者の間では、物流インフラが衝突前の状態まで完全に回復するには、少なくとも数か月を要するとの見方が強まっている。
世界の原油・石油製品供給の約20%が同海峡の封鎖によって失われたが、その貨物の80%がアジア向けであったことから、同地域は世界で最も過酷な供給ショックに晒されている。
この供給空白を埋めるべく、アジアの製油所は米国産原油へのシフトを加速させている。4月の米国の原油輸出量は日量520万バレル前後に達する見込みで、従来の最高記録を大幅に更新する過去最高水準となる。Kplerの分析では、アジア向け輸出は前月比82%増の日量250万バレルにまで膨らむとされている。
米国のトランプ政権が進めるエネルギー増産政策は、皮肉にも中東危機の副産物として米国のエネルギー覇権を強化する形となった。Kplerのマット・スミス氏は、中東産原油の代替を求めるアジアの旺盛な需要が米国の輸出を強力に下支えしており、この強含みの推移は今後も継続するとの見通しを示している。













コメント0