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「どうやって運転するの?」ウェイモ新型ロボタクシー、運転席ごと消えた理由

山田雅彦 アクセス  

引用:ウェイモ
引用:ウェイモ

自動車から運転席が消えつつある

自動車の形が根本から変わりつつある。

これまで自動車は、人間が直接運転するという前提のもとに設計されてきた。ステアリングホイールが必要で、アクセルペダルとブレーキペダルも欠かせなかった。メーターパネルやサイドミラー、バックミラーも当然の装備とみなされてきた。

しかし、ロボタクシーの本格普及とともに、その常識が揺らぎつつある。人工知能が運転を担うようになれば、人間向けの操作装置は必ずしも必要ではなくなるからだ。

最近、米シリコンバレーの道路に水色のミニバン型無人タクシーが登場した。Alphabet傘下の自動運転子会社ウェイモが導入したジーカー(Zeekr)RTである。中国・吉利汽車グループ傘下のEVブランド、ジーカーと共同開発したロボタクシー専用車両だ。最大の特徴は、当初からハンドルとペダルを持たない設計を想定して開発されたことにある。自動車が人間中心からAI中心へと転換しつつあることを象徴している。

引用:ウェイモ
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ジーカーRTは最初から無人運行のために作られた

ウェイモが新たに投入したジーカーRTは、既存の自動車を改造したロボタクシーとは異なり、最初から無人運行を前提として設計された点が最大の特徴だ。

車内に運転席と客席の区別はなく、前後に乗客4名が着座できる。ドライバー用のステアリング、ペダル、メーターパネルは備わらず、代わりに走行状況や地図を確認できるディスプレイが設置されている。これまで運転者の座席として使われていたスペースが、乗客のための空間に生まれ変わった形だ。

この変化は単なるインテリアレイアウトの見直しではない。自動車の基本概念が変わりつつあることを示している。ドライバーが不要になれば、車内で重視すべきは運転操作性ではなく乗客の体験となる。座る方向、座席配置、ディスプレイの位置、荷物置きスペースに至るまで、すべてを新たに設計できる。ジーカーRTは、まさにそうした変化の先駆けといえる車両だ。

以前のロボタクシーは既存の車をそのまま使用していた

最初からロボタクシーがこのような形だったわけではない。ウェイモはこれまで、ジャガーの電動SUV「I-PACE」を主力車両として使用してきた。I-PACEは元々人間が運転する一般的な電動SUVで、ステアリングホイールとペダル、メーターパネルがそのまま残されていた。運転席に人間がいないだけで、内部構造は一般車両と大きく変わらなかった。乗客の目には、まるで幽霊が運転しているかのように映ったことだろう。

引用:ウェイモ
引用:ウェイモ

テスラが米国の一部地域で試験運行するロボタクシーも、市販のModel Yをベースに使用している。

この手法は自動運転サービスの初期段階では合理的だった。既存の量産車を活用でき、問題発生時には人間が介入できるという利点があったからだ。しかし技術の進展とサービスの拡大に伴い、今やあえて人間向けの構造を維持する必要性は薄れている。ロボタクシーが真の無人車へと進化するにつれ、車両の姿そのものも変わりつつある。

安全のためにハンドルとペダルが残されていた

これまでロボタクシーにステアリングホイールとペダルが残されていた理由は明快だ。答えはシンプルで、安全性の確保だ。

自動運転技術が完全に実証されていない段階では、いつでも人間が手動操作に切り替えられる体制が求められた。規制当局も、運転装置をまったく持たない車両には慎重にならざるを得なかった。事故時の制御主体や緊急時の対応フローを明確にする必要があったからだ。

引用:ウェイモ
引用:ウェイモ

また、乗客の心理的な抵抗感も考慮する必要があった。初めて無人タクシーに乗る人にとって、ステアリングもペダルも存在しない車内は不安を覚えさせる可能性がある。逆に言えば、見慣れた自動車の形を維持することで、新技術への心理的な抵抗を和らげる効果もあった。そのため初期のロボタクシーは、既存の自動車に近い構造をあえて維持してきた。

無人運行の経験が積み重なり、ロボタクシーが社会に受け入れられていくにつれ、車両のあり方そのものもAI運転に最適な形へと変わりつつある。

乗客体験中心に車内が完全に変わる

ロボタクシー専用車両の核心は乗客体験だ。AIが運転を担う以上、乗客は前方を注視して運転する必要がない。移動中にノートパソコンで作業したり、向かい合って会話を楽しんだり、動画を視聴したりできる空間に変えることができる。

Amazonの自動運転子会社ズークス(Zoox)のロボタクシーはその典型だ。座席は乗客が向かい合う対面式レイアウトを採用し、馬車のような室内空間を実現している。運転席がなくなったことで、座席配置も自由になった。

引用:ウェイモ
引用:ウェイモ

テスラが発表したロボタクシー専用車両「サイバーキャブ」は2人乗り仕様だ。都市部の移動需要の大半が1〜2名であることを踏まえた構成で、座席数を絞ることで車体のサイズと重量を抑え、エネルギー効率の向上も図れる。自動車はもはや運転者のための機械ではなく、移動サービスの空間へと変貌しつつある。

問題は技術よりも規制だ

ハンドルとペダルのないロボタクシーがすぐに広く普及するかといえば、そう単純ではない。最大の障壁は規制だ。

現在、ほとんどの自動車安全基準は人間が運転する車両を前提に作られている。運転席、ペダル、操舵装置、バックミラー、メーターパネルなど、既存の自動車構造を前提とした規定が多い。しかし、ロボタクシーはその前提を覆す。ステアリングがなければ操舵装置の基準はどう解釈するのか、ペダルがなければ制動装置の操作基準はどう適用するのか——といった問題が生じる。

引用:ウェイモ
引用:ウェイモ

ズークスのハンドルなし車両は、既存の自動車安全基準の枠外に置かれていたが、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2025年8月に同車両への公道走行を正式に承認している。

技術は急速に進化しているが、法規制は依然として既存の自動車を前提とした枠組みのままだ。結局のところ、ロボタクシーの普及は自動運転技術の成熟だけでなく、規制環境の整備にもかかっている。

ハンドルとペダルを持たない自動車は、もはや遠い未来の話ではなく、すでに公道を走り始めている。残された問いは、その変化がどこまで速く、どこまで広がるかだ。

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