
インドが中国の軍事的脅威に備え、大規模な軍改革を進めている。陸軍、海軍、空軍に分かれた現行の指揮系統を地域ごとの統合戦区司令部へ再編するのが柱で、戦区司令官に強い権限を持たせることで現場での対応力向上を目指す。
11日(現地時間)インド紙ヒンドゥスタン・タイムズなどによると、インド軍トップのアニル・チャウハン統合参謀長は先月4日、インド国防省に軍改革案を提出し、インドのナレンドラ・モディ首相が議長を務める内閣安全保障委員会(CCS)の承認を待っているという。インド軍のウペンドラ・ドウィベディ参謀総長も同月30日「今後2〜3年以内に実際に運用される戦区司令部を見ることになるだろう」と述べた。陸海空3軍が合意した改革案であることから、承認に期待を示した形だ。
改革案の中心は陸軍7、空軍7、海軍3の計17個に分かれている司令部を3つの戦区司令部へ再編することにある。北部戦区は総延長3,488kmに及ぶ中国との国境地帯を担当し、西部戦区はカシミールからグジャラートにかけてのパキスタン国境地域を統括する。海洋戦区はインド洋全域を管轄する構想だ。
再編後は戦争遂行や作戦統制の権限が戦区司令官に集中する。そのため、新たに3人の戦区司令官と統合参謀副長を含む計4つの大将ポストが設けられる見通しだ。一方、陸海空軍の各参謀総長は前線指揮から退き、部隊の訓練や装備調達などを担当するとみられている。米国や中国ではすでに同様の戦区制度が導入されている。
これまで特定地域で脅威が発生した場合、陸海空軍がそれぞれ上層部に報告したうえで、各軍首脳による協議を経て共同作戦が実施されていた。戦区司令部体制では、戦区司令官が各軍の承認を得ることなく、陸軍部隊の投入や戦闘機の出撃、海軍艦艇の展開を指示できるようになる。中国はすでに2016年の軍改革で、インド国境全域を管轄する西部戦区を設置している。
インドでも2019年から戦区司令部への移行が議論されてきたが、軍内部の意見対立などで進展は遅れていた。最近になって改革が加速した背景には中国の圧力強化がある。
インドは昨年5月、パキスタン連携のテロへの対応として、パキスタン国内の軍事施設を攻撃するシンドール作戦を実施した。これに対し中国は、インド北部国境地帯への人民解放軍の前方展開や軍事演習の強化などで圧力を強めた。インド側は中国がパキスタンに衛星情報やレーダー情報を提供したとみている。
中国とパキスタンの連携が軍改革を後押し
インド統合軍事研究所(USI)のガウラブ・クマール研究員は香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)に対し「シンドール作戦で明らかになったパキスタンと中国の連携が、軍改革を再び前進させるきっかけとなった」とし「インド洋への進出を強める中国海軍の存在も大きな要因だ」と述べた。インドと中国は国境線を巡る対立から1962年に戦争を経験して以降も軍事的緊張が続いている。
一方で課題も残る。インド軍は約144万人の兵力を擁する世界有数の軍事大国だが、そのうち約120万人を陸軍が占める。このため、戦区司令部も陸軍主導で運営されるとの懸念が出ている。
元インド空軍少将のカピル・カク氏はSCMPに対し「すでに不足している空軍資産を戦区ごとに分散すれば、有事の際にかえって非効率になる恐れがある」と警鐘を鳴らした。















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