
米宇宙企業スペースXやOpenAI、Anthropicなど世界的なテック企業の上場観測が高まる中、こうした企業の従業員による資産管理のあり方にも関心が集まっている。
企業の成長に伴い、ストックオプションや持ち分の価値が数十億円規模に膨らむケースも増えている。上場後には、保有株式の売却時期の見極めや税負担への対応などが新たな課題として浮上している。
9日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、上場計画が具体化しつつあるスペースXの元従業員の中には、保有株式の売却時期を巡って資産管理の専門家と意見が分かれているケースもあるという。
この元従業員が保有するスペースX株の評価額は、直近の取引価格ベースで約2,140万ドル(約34億3,100万円)に上る。投資可能資産の93%がスペースX株に集中しているものの、同氏は同社の成長余地を高く評価しており、売却には慎重な姿勢を示しているという。
一方、資産管理の専門家は、特定企業の株式に資産が偏るリスクを抑えるため、上場後に保有株の一部を売却し、投資先を分散するよう勧めている。
こうした課題はスペースXに限ったものではない。IPOが見込まれるAI企業のOpenAIやAnthropicの従業員も、上場を機に巨額の資産を手にする可能性がある。
ただ、専門家は、急激に多額の資産を得た投資家が感情的な判断で資産運用を行った場合、思わぬ損失を被る恐れがあると警鐘を鳴らしている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ベンチャー投資家で暗号資産銀行アンカレッジ・デジタルの共同創業者であるディオゴ・モニカ氏は、上場直後に保有株式の20%を売却した後、残りの大半を長期間にわたって段階的に売却し、一部は最後まで保有する方針を取っているという。
税金面も重要な検討事項となる。非適格ストックオプション(NQSO)や適格ストックオプション(ISO)、譲渡制限付き株式ユニット(RSU)など、報酬の形態によって課税の仕組みが異なるためだ。オプションの行使時期や株式の付与時期によっては、想定を上回る税負担が発生する可能性がある。
専門家は、納税のために借り入れを行い、上場後に株価が急落すれば、資産が減り、負債だけが残る恐れがあると指摘する。そのため近年では、株式を単純に売却するのではなく、ダイレクト・インデクシングや先渡契約、エクスチェンジファンドなどを活用した節税・分散投資戦略への関心も高まっている。
専門家は、特定企業の株式に資産が過度に集中する状況には特に注意が必要だと強調する。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、過去にアマゾンの初期社員の一部がストックオプションを長期間保有した結果、ドットコムバブル崩壊の過程で大きな損失を被った事例を紹介し、成功可能性が高い企業であっても資産の分散が不可欠だと伝えている。

















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