英政府、「北アイルランドの反移民暴動は人種差別的攻撃」と非難
暴動は2日目に突入…移民の住居や店舗への襲撃相次ぎ、移民社会に恐怖広がる

英国政府は、北アイルランドのベルファストなどで2日連続で発生している反移民暴動を強く非難した。移民の住居や店舗を狙った襲撃が相次ぎ、移民社会には恐怖が広がっている。
11日、英紙ガーディアンやロイター通信によると、北アイルランド担当相のヒラリー・ベン氏は、ベルファストなどで続く反移民暴動について「人種差別的な暴力だ」と非難した。同氏は「肌の色を理由に人々を標的にしているのであれば、それ以外に説明のしようがない」と指摘した。暴動の規模は初日よりやや縮小したものの、依然として深刻な状況だという。
今回の事態は、8日夜にベルファストで発生した刃物による襲撃事件をきっかけに始まった。スーダン出身の難民ハディ・アロディド容疑者(30)が殺人未遂容疑で起訴された後、関連映像がSNSで拡散され、反移民感情が急速に高まった。9日夜からはデモが暴動の様相を呈した。一部地域では放火により住宅や車両、バスなどが焼失し、道路が一時封鎖された。前日には、ベルファスト郊外の難民申請者を受け入れているホテルへ向かったデモ隊が警察と衝突する事態も発生した。警察は放水車やプラスチック弾を使用してデモ隊を解散させ、この過程で警察官10人以上が負傷、数十人が逮捕された。

移民社会の恐怖も広がっている。覆面姿のデモ参加者らは、移民の住居や店舗、車両などを襲撃し、放火も行った。SNS上では、移民が居住しているとされる複数世帯向け賃貸住宅(HMO)の住所一覧まで拡散された。エリトリア出身の難民ジョセフ氏はガーディアン紙に対し、「(住所一覧の公開は)明らかに私たちを狙ったものだ」とした上で、「どこへ行くかは分からないが、もうこの街を離れるつもりだ」と語った。
労働組合ユニソン(Unison)によると、9日に少なくとも15世帯が緊急避難したのに続き、10日にもさらに15世帯が自宅を離れたという。ベルファストに4年間住んでいる東アフリカ・エリトリア出身のクフルーム・テクリ・カサ氏も、商店街で発生した火災を受けて自宅を離れ、妻と生後2か月の娘とともに友人宅へ避難した。同氏は「妻は非常に恐怖を感じていた。こんなの人間のすることではない」と訴えた。2016年にスーダンから難民として北アイルランドへ移住したトワスル・モハメド氏はロイター通信に対し、「騒動以降、子どもたちを学校へ通わせていない」と語った。2015年にシリア内戦を逃れて英国へ移住したモハメド氏は、戦時中の爆発で負ったすねの傷を見せながら、「子どもたちは全員ベルファストで生まれ、地元の訛りで話している。それでも今はベルファストを離れ、シリアやエジプトへ戻ることまで考えている」と明かした。その上で、「私たちはただ新しい人生を求めてここへ来ただけだ」と訴えた。
この日午後には、アフリカ系やアラブ系住民が経営するスーパーマーケットや理髪店、電子機器店などが一斉に鉄製シャッターを下ろした。ベルファスト・イスラムセンターも夜の礼拝を中止し、信者に外出を控えるよう呼びかけた。

警察は、今回の暴動の多くがSNSなどを通じて組織的に扇動されたとみて捜査を進めている。北アイルランド警察(PSNI)のライアン・ヘンダーソン副本部長は、「SNS上で相当規模の組織的な動きが確認された」と説明した。また、オンライン上で拡散されたヘイト情報や偽情報が暴力を助長したとの見方を示し、関連投稿への処罰の可能性にも言及した。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)も同日、少数民族や外国人居住者を標的とした暴力に懸念を表明し、英国当局に迅速な対応を求めた。
今回の事態を受け、英国とアイルランドの間で認められている自由移動制度「共同旅行区域(CTA)」を巡り、難民流入や国境管理の在り方をめぐる議論も広がっている。刃物襲撃事件の容疑者は、スーダンからフランスとアイルランドを経由して北アイルランドに入国し、2023年に難民申請を行ったとされる。英国とアイルランド両政府は事件後、共同旅行区域の「悪用」を防ぐための協力策について協議した。ガーディアン紙によると、アイルランドの難民申請者数は2019年の約5,000人から2024年には1万8,500人へと急増した。申請者の約90%は空港や港ではなく、アイルランド政府の難民審査機関である国際保護庁(IPO)を直接訪れて申請したという。













コメント0