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ウクライナ、戦果ポイントで武器を買う「防衛産業オープンマーケット」を導入

竹内智子 アクセス  

ウクライナ軍の戦力強化を支えた調達制度改革

防衛技術プラットフォーム「ブレイブ1」

軍の兵器需要を受け、企業をつなぐ

試験・認証から前線投入までを支援

部隊ごとの戦闘データをAIに提供

戦果を挙げた部隊にドローン・ロボットを補給

引用:産経新聞
引用:産経新聞

ウクライナは、量産した戦闘用ドローンを投入してロシアの補給網やエネルギー施設などを攻撃し、兵力で勝るロシア軍を揺さぶっている。2023年に導入した防衛技術プラットフォームを軸とする調達制度の改革が、ウクライナ軍の戦力強化を後押ししたとの評価が出ている。

◇ウクライナ「今年、ドローン700万機を生産」

23日、フィンランドの戦況監視団体ブラックバード・グループは、ロシア軍が今年2~5月に新たに占領した面積は164平方キロメートルにとどまったと発表した。前年同期の1,151平方キロメートルと比べると、大幅な減少となる。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は20日のインタビューで、ウクライナのドローンが2,500キロメートルを飛行し、ロシア西シベリアのチュメニにある石油精製施設を攻撃したと戦果を明らかにした。

引用:記事の内容と関連しAIツールで作成されたイメージ/ChatGPT
引用:記事の内容と関連しAIツールで作成されたイメージ/ChatGPT

ウクライナは、欧州連合(EU)による約900億ユーロ(約16兆5,300億円)の融資支援を背景に、戦闘用ドローンの生産を集中的に進めている。ウクライナ国防省によると、今年1~4月の偵察用ドローン生産量は前年同期比441%増、中距離攻撃ドローンは同312%増えた。ウクライナ当局は、今年のドローン生産目標を700万機以上としている。

戦争を通じて急成長したウクライナの防衛企業は、高性能かつ低価格なドローンを相次いで投入している。なかでも大きな戦果を挙げている兵器として、一人称視点(FPV)型の自爆ドローンが挙げられる。FPVドローンは、高速飛行中に操縦者へ高解像度の映像を送るため、精密性と機動性が高く、電波妨害にも強いとされる。

ウクライナの防衛企業ジェネラル・チェリーが開発した「FPVカミカゼ」は、その代表例に当たる。ジェネラル・チェリーは最近、「FPVカミカゼ」がロシア軍のKa-52攻撃ヘリコプターを撃墜したとして、関連映像を公開した。防衛企業ファイア・ポイントは、FP-1やFP-2など、中長距離を飛行して標的を攻撃できる自爆ドローンを開発している。

FP-1の射程は1,600キロメートルに達する一方、単価は約5万5,000ドル(約890万円)にとどまり、費用対効果に優れた長距離攻撃兵器と位置付けられる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、FP-1がサンクトペテルブルク近郊まで飛行し、軍艦を狙った攻撃に成功したと報じた。

防衛企業ワイルド・ホーネッツが開発した迎撃ドローン「スティング」も、新たな費用対効果の高い兵器として注目を集めている。最高速度は時速300キロメートル、高度7,000メートルまで飛行でき、迎撃率は80~90%に達するという。米メディアのビジネスインサイダーは、今年4月だけでロシアのドローン約1,500機を撃墜したと伝えた。

こうした攻撃は、ロシア軍の補給網にも影響を及ぼしている。ロシア軍は、前線から約80キロメートル後方に置いていた主要補給倉庫を、同120~150キロメートル後方へ移している。FTは、ウクライナがFPVドローンの群れによって前線の両側に広がる20キロメートルの「キルゾーン(殺傷地帯)」をつくり、かつて補給車両が自由に往来していた後方地域も今では標的になったと説明した。ウクライナ軍は、戦場で死亡したロシア軍兵士の最大80%がドローン攻撃によるものとみている。

◇戦果ポイントで兵器を注文

ウクライナが戦闘用ドローンを迅速に開発できた背景には、2023年にウクライナ政府が構築した防衛技術プラットフォーム「ブレイブ1」があると、専門家は分析する。ブレイブ1は、戦時に必要な兵器の需要を軍から受け付け、兵器を製造するスタートアップ、投資家、海外企業を結び付ける役割を担う。

ブレイブ1は補助金の支給、兵器の試験・認証、調達までを担い、兵器を速やかに実戦配備できるよう支援する。技術力を実証できれば、どの企業でも政府プラットフォームを通じて助成金を受け取り、試作品を実証できる仕組みになった。

ブレイブ1は、プラットフォーム内のマーケットプレイスを通じ、軍の部隊がドローン、電子戦装備、地上ロボットなど必要な兵器を直接注文できるようにした。特に、戦闘で挙げた成果を「ポイント」に換算し、そのポイントで武器・装備を購入する「戦果連動型補給制度」を採用した点が特徴である。物資を一括配分する従来方式から脱却し、「戦果を挙げた部隊ほど、より良い補給を受けられる」というインセンティブを兵站制度に組み込んだ。

ブレイブ1は、軍用人工知能(AI)モデルの試験・訓練を行う軍用AIプラットフォーム「データルーム」も整備している。データルームでは、軍が実戦で収集した敵軍の兵器データや映像資料を防衛企業と共有する。開発者はこれらのデータでAIモデルを学習させ、完成したシステムは再び前線へ投入される。

この過程で一部の防衛技術スタートアップは大きく成長し、海外からの受注も獲得している。ドローン群制御ソフトを開発するウクライナのスタートアップ「スワーマー」は3月、米ナスダック市場に上場し、株価は公募価格比で500%以上上昇した。同社が開発したAI技術は、多数のドローンの個別機動を協調させ、「ドローン群」を自在に運用できるようにする。スワーマーの技術は2024年以降、ウクライナの戦闘現場で10万回以上使用されたと伝えられている。

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