米・イラン戦争が変えた世界秩序④

2月末に米国・イスラエル対イラン戦争が勃発して以降、中国の北京首都国際空港では現在まで、平均して週に1度、レッドカーペットが敷かれている。中国が迎えた20か国余りの首脳の顔ぶれは華やかだ。米国のドナルド・トランプ大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、英国のキア・スターマー首相、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相、スペインのペドロ・サンチェス首相、カナダのマーク・カーニー首相など、欧州・北米の主要国の指導者が相次いで北京を訪れた。これは、中央アジア、アフリカ、中南米諸国の首脳を主に迎えてきた従来の北京の外交的地位からは、明らかに様変わりした光景である。
米国がイラン戦争に足を取られ、中東で対応に追われる間、中国は外交的な存在感を示し、戦略的な余地を広げた。「力で問題を解決しようとするやり方は、より大きな混乱を生む」という中国の原則論に立つ外交方針は、今回の戦争を契機に、むしろ現実的な戦略として注目を集め始めている。米ブルッキングス研究所中国センターのライアン・ハス所長は8日付の寄稿「イラン戦争はいかに中国の世界的野心を後押しするか」で、「中国の指導者たちは米国が迷走する間にも、着実に力と影響力を蓄えてきた」と指摘した。さらに「米国がイラン問題への対処で国力を消耗し、国内政治の分断を深めれば深めるほど、中国は世界の舞台の中心へより早く到達することになる」と分析している。
戦時下で中国が最も注力したのは、「責任ある大国」というイメージの浸透だった。中国は「安定・仲介・不介入」の原則を掲げ、イランの主権と領土保全を支持し、米国による武力行使を批判する一方で、米国との正面衝突を避けた。外交専門メディア「ザ・ディプロマット」は、「中国の力は、他国が損得勘定や交渉、危機管理を進める過程で、自らを決して排除できない『不可欠な存在』にすることから生まれる」とし、「これは中国にとって相当な成果だ」と評価した。
習近平国家主席が戦争の過程でトランプ大統領と「対等な仲介者」として肩を並べた点も、注目を集める。トランプ大統領は17日、主要7か国(G7)首脳会議後の記者会見で、習近平国家主席とプーチン大統領について、今回の戦争では「完全に中立的であり、助けになった」と語った。中国を戦略的競争相手と位置づけてきた米国の大統領が、危機局面で中国の協力を公式に認めたことになる。結果として、「米国は戦争を引き起こし、中国は仲介する」という構図を、米国自身が認めた格好となった。トランプ大統領は先月13日から15日に北京を訪問した際、平素とは異なる受け身で消極的な姿勢を見せ、「低姿勢外交」をめぐる論争を招いた。

さらに中国は、従来から主張してきた「多極化体制」を前面に掲げる機会とした。イランとの関係を維持しつつ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オマーンなど湾岸諸国との関係を犠牲にしない均衡戦略を展開した。米国の安全保障の傘の下にありながら、イランによる攻撃で甚大な被害を受けた湾岸諸国は、中国が発する友好的なメッセージに耳を傾け始めている。中国はイランに過度に接近する姿を見せず、中東全体の協力者というイメージを保った。中国が17日、従来の「中心―周辺」という一方主義的な構造から脱し、「より公正で平等なグローバル・ガバナンス」を掲げる白書を発表したことも、自らが中東を含む国際秩序に不可欠な仲介者であることを対外的に強調する布石とみられる。
ただ、今回の戦争が中国にとって好材料としてのみ作用したわけではない。ホルムズ海峡の封鎖は、中国のエネルギー安全保障と物流に打撃を与え、米国の対イラン制裁網が中国企業にも拡大するリスクを高めた。中国が国際情勢で存在感と国際的な地位を高めたとの評価には、反論もある。「ザ・ディプロマット」は、中国が国際政治の中心に立ったかのように描かれているが、他国が中国の提示する新たな秩序に従うと決めたわけではないと分析した。同メディアは「中国を、最も重要な結節点の一つとして捉えるのが適切だ」と付け加えた。
















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