60日間の期限付き販売、ドル建て決済
米国内で「イラン政権に利益」との批判
イラン、ホルムズ海峡の通航料金を
オマーンと共同で課す案を検討
米国の制裁を逃れるため、船舶自動識別装置(AIS)を停止し、船名や船籍まで変えながら、いわゆる「シャドーフリート(影の船団)」を使って原油を密かに売ってきたイランにとって、ようやく息をつける状況となった。米国が22日、イラン産原油の販売を一時的に認める方針を決めたためだ。
イランは2018年、米国のドナルド・トランプ大統領の第1期政権がイラン核合意「包括的共同作業計画(JCPOA)」から一方的に離脱して以降、事実上、合法的なルートで原油を輸出できない状態が続いていた。米国がイラン産原油を取引する第三国の企業や金融機関にも制裁を科す、いわゆる二次制裁(セカンダリー・ボイコット)を実施したためである。
今回の措置により、イランの原油輸出は8年ぶりに事実上の闇市場から表舞台へ戻ることになった。ただ、一部ではイラン政権に財政的な利益を与える、時代に逆行する措置だとの批判も出ている。

イラン産原油の販売、8年ぶりに再開へ
米国のスコット・ベッセント財務長官は同日、「X(旧ツイッター)」で「イランはホルムズ海峡における自由で開かれた通航を保証し、国際原子力機関(IAEA)の査察団によるイラン入国を認めることで合意した」と表明した。ベッセント財務長官は「これを受け、財務省はイラン産石油の生産・輸送・販売を認める60日間の暫定一般許可を発給した」と説明している。
米国は3月にも、イラン戦争の勃発で国際原油価格が急騰した際、イラン産原油への制裁を30日間に限って免除していたが、当時に認められたのは既に船舶へ積み込まれた原油の販売だけで、あくまで暫定的な措置にとどまった。これに対し、今回の措置は新たな原油販売契約まで認める点が異なる。米財務省によると、この免除措置は8月21日午前0時1分(米東部時間)まで適用される。
国際市場に向けたイランの合法的な原油販売は、8年ぶりに再開される見通しだ。米国のバラク・オバマ元大統領の政権は2015年、イランが核開発を停止する見返りに経済制裁を解除するJCPOAを締結した。だが、トランプ大統領の第1期政権は2018年、これを「史上最悪の取引」と呼んで離脱し、イラン産石油の取引を全面的に禁じたため、イランは以後、制裁を逃れて割引価格で中国などへ原油を迂回輸出し続けてきた。
今回の措置は、米国による海上封鎖の影響で深刻な経済難に直面するイランにとって、ドルをもたらす恵みの雨になるとの見方が出ている。米国が高濃縮ウランの備蓄分の処理などを巡る協力をイランから引き出すため、こうした経済的な誘因策を打ち出したとの見方もある。
中東各国を相手に「場外戦」も
一方、米国とイランは、戦争終結に関する了解覚書(MOU)の締結後、初となる高官級の後続協議を終えるとすぐに、中東各国を相手に全方位の外交戦を展開する構図となっている。米国務省によると、米国のマルコ・ルビオ国務長官は23日から25日にかけて、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、バーレーンを順に訪問する。米国高官による中東歴訪は、戦争終結に関するMOUの締結後、初めてである。ルビオ国務長官は湾岸協力会議(GCC)の関係者らと会談し、MOUの履行策、ホルムズ海峡の安全な通航、地域の安全保障協力などを協議する予定だ。
イランも直ちに周辺国への外交を開始している。米国との交渉で首席代表を務めたイランのモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長と、イランのアッバス・アラグチ外相は22日、オマーンを訪れ、ホルムズ海峡における新たな海上監視に関する規約を協議した。イランとオマーンは23日の共同声明で、「ホルムズ海峡の今後の通航管理、これに関連して提供されるサービス、国際基準に基づく関連費用の請求を巡る問題について合意に達するため、両国外務省の共同実務グループを通じて対話を継続することで一致した」と明らかにした。これは、両国がホルムズ海峡の通航サービス料金を共同で課す案を検討していることを示す。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は23日、国賓としてパキスタンを訪問し、パキスタンのシャバズ・シャリフ首相と、戦争終結に関するMOUの発効後の地域情勢や両国の協力策を協議する予定だ。
ただ、初の後続協議では、主要な懸案の大半が今後の実務協議に委ねられた。双方は、核計画の処理方法、高濃縮ウランの在庫処理、IAEA査察の範囲、凍結資産の解除条件など主要争点で、なお隔たりを埋められていない。

















コメント0