
【引用:X】ウクライナがロシアを攻撃するために用いたドローン戦術が、世界各地の戦場にも広がりつつある。28日(現地時間)、英国テレグラフなどの海外メディアは、国境を巡る対立が続くタイとカンボジアの間で、タイ軍がウクライナ戦争で使われているドローン戦術を適用した攻撃を行ったと報じた。

【引用:X】現地のSNSに投稿された映像では、クアッドコプター(4つのローターを持つ小型ドローン)が目標物の上空を旋回し、爆弾を投下した直後に火の手が上がり、爆発が起きる様子が確認されたという。ロシア軍を標的にしていたウクライナ軍の戦術が、東南アジアでも活用されている。今年5月にはミャンマーの反政府勢力が、小型の一人称視点(FPV)ドローンで、ミャンマー軍事政権のMi-17ヘリコプターを破壊する映像を公開し、注目を集めていた。

【引用:X】しかし、タイ軍のドローン活用には他国との違いもあるという。ウクライナ軍やミャンマーの反政府勢力は、防衛力の劣勢を補うために安価なドローンを活用しているとされる。米国防総省の元分析官でドローン戦略に詳しいマルセル・フリヒタ氏はテレグラフとのインタビューで、「通常、ドローンは弱者に力を与えるものだ」とし、「その意味ではカンボジアがドローン戦術の恩恵を受ける可能性も考えられるが、現時点ではタイのドローン能力に及んでいない」との見方を示した。また、オーストラリアのシンクタンク、ローウィ研究所で東南アジアの安全保障を専門とするラフマン・ヤコブ博士も、「タイはウクライナ戦争を通じてドローン戦術を学び、現在はカンボジア軍の要衝を狙っている」と指摘した。「主な目標は指揮所と弾薬庫であり、これらを攻撃することでカンボジア側に混乱が生じる」との見解を示した。

【引用:タイ王立軍】軍事力の面でも、タイはカンボジア軍を大きく上回っている。英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)によると、タイ軍の兵力は陸軍約24万5,000人を含めて36万人以上にのぼり、昨年の国防予算は約57億3,000万ドル(約8,500億8,567万円)に達したとされる。これに対し、カンボジア軍は約12万4,300人の兵力にとどまり、昨年の国防予算も約13億ドル(約1,928億6,411万円)だったという。一方、国境を817kmにわたって接する両国タイとカンボジアは、10世紀頃に建立されたプレアヴィヒア寺院やモアントム寺院など国境地帯の遺跡を巡って長年領有権争いを続けてきた。そうした中、今年5月末にはタイ北東部ウボンラーチャタニー県南ユアン地域の国境地帯で小規模な交戦が発生し、カンボジア兵1人が死亡する事件が起きていた。その後、24日からは戦闘機が投入されるなど武力衝突が激化し、タイ側で22人、カンボジア側で13人の計35人が死亡、140人以上が負傷する事態となっていたが、米国やマレーシアなどの仲介により、現在は一時的な停戦に入っているという。28日には、マレーシアの行政首都プトラジャヤにおいて、タイのプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼内相(首相権限代行)と、カンボジアのフン・マネット首相が緊急会談を行い、停戦に合意したとのこと。
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