
【引用:シボレー】ゼネラルモーターズ傘下のシボレーおよびキャデラックで、取扱説明書が同梱されていなかったことを理由に約3,500台がリコール対象となった。車両自体の不具合ではなく、出荷工程で冊子が抜け落ちていたという単純な事案だが、米連邦自動車安全基準FMVSSは引き渡し時の取扱説明書提供を義務付けており、未提供は安全情報提供義務違反に該当する。修理は不要で、オーナーはディーラーで説明書を受け取るだけという対応だが、規制上は正式なリコール処理が不可欠となった。

【引用:シボレー】発端はディーラー社員がシルバラード2500の一部車両で冊子欠如に気付いたことだった。調査により同一工場・同時期生産の車両にも同様の不備が判明し、シルバラード1500が169台、2500HDが3,211台、3500HDが28台、キャデラック・リリックが94台など計3,502台に拡大。作業手順の逸脱が原因とされ、ディーラー配布で是正される。一方キャデラック・ビスティックは車載インフォテインメントからのダウンロード方式で、初期設定で自動取得されない不具合があり、リセット対応で解決する。

【引用:キャデラック】取扱説明書は単なる付属品ではない。警告灯の意味、ADASの作動条件と限界、積載規定、緊急時手順など、安全に直結する情報が体系化されている。電動化とソフトウェア化が進む現在、UI操作の理解不足は誤使用や機能オフの常態化を招き、事故リスクを高める。NHTSA提出文書でも、説明書欠如により一部項目でFMVSS不適合と分類され、機械的欠陥がなくても規則違反となる点が明確化された。

【引用:キャデラック】実際には説明書を通読するユーザーは多くないとされるが、今回の事例は説明書が車両の一部であり安全装備の延長線にあることを示した。手間の少ない是正であっても、公式リコールで補完する姿勢は、ユーザー理解が安全の前提条件であるという現在の規制思想を映す。小さな欠落が大規模な是正に発展した本件は、技術高度化時代の自動車における基本の重要性を改めて示す象徴的なケースだ。













コメント0