韓国の人気ガールズグループ「NewJeans」をめぐる専属契約紛争で、ソウル中央地方裁判所が「契約違反1回につき10億ウォン（約1億636万7,790円）」という異例の高額な賠償命令を下し、法曹界内外で注目を集めている。仮処分命令を無視して独自に活動を続けた芸能人に対する「厳しい警告」と解釈されている。
法曹関係者によると、ホ部長裁判官率いる裁判部は先月29日、NewJeansの一部メンバーが所属事務所の同意なく「NJZ」という新グループ名で公演や新曲発表を行ったことを問題視し、間接強制を認めた。裁判所は「仮処分決定後も義務違反があった」と指摘し、「今後も同様の行為が繰り返される恐れがあるため、仮処分命令の履行を強制する必要がある」と判断した。
1回あたり10億ウォンという間接強制金は、韓国の芸能関連の民事紛争では極めて異例の高額である。法曹界では「仮処分命令の実効性を確保するための強い措置」と評価されている。
過去には、2011年にSMエンターテインメントと東方神起出身のJYJが争った専属契約訴訟で、裁判所は所属事務所が芸能活動を妨害した場合に1回あたり2,000万ウォン（約212万6,377円）の支払いを命じた例がある。今回の件では、NewJeansの所属事務所ADORが1回あたり20億ウォン（約2億1,263万7,760円）の支払いを求めていたが、裁判所は半額の10億ウォンに減額した。
今回の判断を下したホ判事は、1998年に司法試験に合格後、弁護士を経て2007年に判事に任官した。春川(チュンチョン)地裁、水原(スウォン)地裁、ソウル南部地裁を経て、司法研修院の教官も務めた経験を持つベテラン裁判官だ。
ホ判事は今年初めにも、北朝鮮からの亡命希望者を強制送還したとして起訴されたムン・ジェイン政権下の外交・安保関係者に対し、一審で宣告猶予の判決を下し注目を集めた。また、不正政治資金の収受で起訴された共に民主党のソン・ヨンギル元代表に対しては懲役2年を言い渡すなど、原則を重視する裁判官として知られている。