ファン・ビンビン、台湾映画祭で主演女優賞を受賞
SNS投稿も即削除、ポータルサイトも沈黙
2018年の脱税スキャンダル以降、検閲対象に

中国のトップ女優ファン・ビンビン(44)が台湾の映画賞で主演女優賞を受賞したにもかかわらず、中国のネット上では「存在が消えた」状態が続いている。本人の受賞コメントや関連投稿が相次いで削除され、中国当局による厳しいネット検閲の実態が改めて浮き彫りになった。

台湾『三立新聞』などによると、ファン・ビンビンは22日、台北流行音楽センターで開かれた第62回金馬奨で、映画『母なる大地』により主演女優賞を受賞した。
『母なる大地』はマレーシアのチャン・ジアン監督が手がけた作品で、1990年代のマレーシア農村を舞台に、夫を亡くしながらも子どもたちを育て上げる女性を熱演した。
ファン・ビンビンは授賞式には出席せず、翌日午前3時ごろ、自身のSNS・微博に「600件以上の祝福メッセージに返信した。幸せすぎて、少し呆然としている」と喜びをつづり、自撮り写真を投稿した。しかし、この投稿は直後に削除された。
「微博」や「小紅書」など中国の主要SNSでは受賞のニュース自体が見当たらず、ポータルサイトのファン掲示板に投稿されていた関連コメントも次々と削除された。所属事務所が掲載した受賞祝賀投稿も同様に削除されたと伝えられている。
妹弟である歌手兼俳優のファン・チョンチョンは、姉の受賞に対して沈黙を守っている。
一方でファン・ビンビンは、中国当局の規制が及ばない米メタ社のSNS「Threads」に長文の心境を投稿し、金馬奨会場や映画『母なる大地』の撮影現場の写真を公開した。この投稿には3万6,000件以上の「いいね」が集まった。

ファン・ビンビンは1998年のドラマ『還珠姫~プリンセスのつくりかた~』で知名度を高め、中国を代表する女優へと成長した。その後、ハリウッドにも進出し、『アイアンマン3』、『X-MEN:フューチャー&パスト』にも出演している。
しかし2018年、脱税疑惑により突然消息を絶ち、約4か月間にわたって公の場から姿を消した。この間、拘束説や亡命説などさまざまな憶測が飛び交い、大きな混乱を呼んだ。最終的に中国当局は巨額の追徴金を課し、本人も謝罪文を発表した。
その後は中国映画界での活動が制限され、近年は海外を拠点に活動を続けている。2022年にはサイモン・キンバーグ監督の映画『355』で主演を務め、2023年には韓国資本の香港映画『グリーン・ナイト』にも出演し、釜山国際映画祭にも姿を見せた。
ただし、中国最大の検索エンジン「百度」では、ファン・ビンビンの受賞に関する記事や論考はほとんど検索されず、外見やファッションに関する軽い話題のみが散見される状態となっている。
現在、微博の公式アカウントには化粧品ブランド関連の投稿と短い近況メッセージのみが断続的に掲載されている。一方で、Threadsではファンとの交流を継続しており、中国国内とは対照的な発信スタイルを見せている。













コメント0