「目の血管が命を救う」香港理工大が発見した網膜スキャンによる脳卒中予測法、従来の血液検査を上回る精度に

網膜から脳卒中のリスクを予測できる29の血管健康指標が発見されたという研究結果が発表された。

13日（現地時間）、香港理工大学の研究チームが英国の医学誌「BMJ Heart」でこの研究結果を公表した。研究チームは英国バイオバンク研究に参加した4万5,000人以上の網膜画像を分析し、新たなバイオマーカーを発見。このバイオマーカーは「血管指紋」と呼ばれ、網膜の特異的なパラメータやパターンを指す。

研究の結果、この血管指紋は参加者の初回脳卒中リスクと密接に関連していることが判明した。研究チームは「この指紋を年齢、性別、血圧などの要因と組み合わせることで脳卒中リスクを予測することができ、これは従来の血液検査よりも効果的だ」と説明した。

香港理工大学のMing Guang He眼科教授は「脳卒中リスクを予測する血液検査は、精度が比較的低く、侵襲的で、高コストという欠点がある」とし、「網膜の血管指紋分析は非侵襲的で簡便かつ効果的」と述べた。研究チームは現在、心疾患や認知症など他の疾患予測にも血管指紋を活用する方法を研究中だ。

従来から医師たちは、目が全身の健康状態を反映することを認識していた。網膜血管の変化は高血圧、糖尿病、動脈硬化症などの全身の血管状態を示す可能性がある。眼科外科医のAlexander Solomon博士は「網膜血管の変化が脳卒中と関連しているのは、網膜が脳の延長線上にあるためだ」と説明。「網膜は光に敏感で、これを処理するニューロンで構成されているため、網膜検査は脳の一部を検査するのに似ている」と述べた。

高脂血症、高血圧、糖尿病などの様々な血管疾患により網膜血管が変化する可能性がある。血管外科医のChristopher Lee氏は「脳卒中は世界的に障害や死亡の主要因」とし、「血管指紋検査は医療資源の乏しい地域社会での脳卒中リスク検査へのアクセス向上に貢献する可能性がある」と語った。