「まさか、こんなことに?」肩にタトゥーを入れた46歳男性、腎臓など8か所に損傷のリスク

左肩にタトゥーを入れた40代半ばの男性が、10年以上にわたり皮膚や腎臓、心臓、肺など8つの臓器に肉芽腫(炎症のかたまり)ができ、これらの臓器が全てが損傷する危機に直面しているという、衝撃的な事例が報告された。
フランスのサンテティエンヌ大学(University of Saint-Etienne)の研究チームは、カリブ海出身の46歳の男性が、左肩に赤色の色素でタトゥーを入れた後、肩の皮膚やリンパ節をはじめ、腎臓・髄膜・心臓・ひ臓・肺・胸膜など、計8つの臓器に肉芽腫ができたと発表した。この患者はさまざまな薬物治療を受けたが、症状が悪化し、激しい副作用が現れて治療を中断せざるを得ない状態になるなど、大きな苦難を経験したという。
研究チームは、遺伝的あるいは免疫学的に脆弱な人がタトゥーインクの特定の抗原にさらされると、皮膚の副作用だけでなく、全身に治療が困難な肉芽腫ができる可能性があると述べた。この患者は心臓や脳、腎臓などの重要な臓器に肉芽腫が形成され続けており、治療薬もあまり効果がない状況だ。この状態は長期的に臓器不全を招き、命に関わる恐れのある極めて深刻な段階と分析された。
この症例研究の結果(Multisystemic Granulomatosis Induced by Red Tattoo Pigment: Course Over 10 Years)は最近、国際学術誌『Cureus』に掲載された。
タトゥーのインク成分、皮膚に留まらず全身を巡る…血管を通じて「遠隔転移」
タトゥーは皮膚だけの施術だと考える人が多いが、この事例は、タトゥーのインクが血管やリンパ管を通じて体内の深い臓器まで移動し得ることを示している。
研究チームが質量分析法でこの患者の腎臓を検査した結果、タトゥーインクの主成分であるバリウム粒子が腎臓から検出された。肩に入れたタトゥーの粉末が血液を通じて体内を巡り、腎臓に引っかかってその場に定着したのだ。また、リンパ節からは多量のチタン成分が確認された。このことは、タトゥーインクが単なる色素ではなく、常に体内を移動し得る金属粉であることを指している。
免疫系の防御反応が裏目に…異物を封じ込める過程で臓器にダメージ
人体の免疫細胞は、分解されないタトゥーの粉末を危険物質と認識し、処理しようとする。しかし免疫細胞は金属成分の色素を除去することができない。このため異物を幾重にも取り囲み、色素が広がらないように硬い塊を作る。これがまさに炎症の塊である肉芽腫である。これは臓器のあちこちに小さなしこり(結節)や瘢痕(線維組織)として定着する。
肉芽腫が心臓にできると心臓の筋肉の動きを妨げ、不整脈を引き起こす。腎臓にできると血液をろ過するフィルター機能を麻痺させ、髄膜にできると神経系を圧迫するなどして、臓器の機能を低下させる。
「タトゥーを消しても効果なし」…遺伝的素因がある人ほどリスク高く
最大の懸念は、この炎症の塊を治療することが非常に難しいということだ。この患者はステロイドや免疫抑制剤などの薬物を使用したが、10年以上にわたり病状の停滞と悪化を繰り返すばかりで、完治には至らなかった。かえってステロイドの副作用により、目の網膜が損傷するという被害に見舞われた。
また、タトゥーの色素の中でも、特に赤色の色素が強い免疫反応を引き起こすことが知られている。同じようにタトゥーを入れても、特定の人だけにこのような病状が現れるのは、個々の遺伝的・免疫学的な脆弱性が原因として挙げられる。表面に現れる皮膚の炎症は氷山の一角にすぎず、体の奥深くでは、破壊が静かに進んでいる可能性がある。
タトゥー施術後に、該当部位が硬くなったり、リンパ節が腫れたりするなどの異変が現れたら、すぐに病院を受診するべきだ。タトゥーは単なる美容施術ではない。体内に「永久的な異物」を注入するため、医療的なリスクが伴うことを忘れてはならない。















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