
アルコールによる健康被害を調べるため、ジョー・バイデン前政権が委託した研究結果が9日、公開された。ドナルド・トランプ政権は酒類業界や議会委員会の反発を受け、研究結果を新たな食事指針に反映しないことを決めていたが、今回、研究者らが独自に公表した。
学術誌『Journal of Studies on Alcohol and Drugs』に掲載された研究結果は、これまで長年にわたって蓄積されてきた研究と一致している。1日1杯の飲酒でも健康リスクは高まり、どの程度の飲酒にも死亡率を下げる保護効果は確認されなかった。また、「適度」とされる量であっても、早期死亡や心臓病、がんを含む200以上の病気のリスクが高まることが示された。
この研究は、新たな食事指針の策定に向けて行われた2件の政府検証のうちの一つだった。今年初めに発表された新指針は「健康全般の改善のため、アルコール摂取を減らす」と勧めたが、今回の研究をまとめた著者らは、飲酒のリスクについて具体的で実用的な助言が示されなかったと指摘した。
バイデン前政権が委託した研究に携わった関係者の一人は、トランプ政権が研究結果を「無視した」と批判した。一方、トランプ政権はこの主張を否定している。
長年にわたる研究作業を主導した、米薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)の元アルコール予防・治療政策担当者ロバート・ビンセント氏は、研究とともに掲載された論説でこうした批判を展開した。ビンセント氏は昨年、政府職員削減の一環として解雇されていた。
ビンセント氏は「現在のアルコール政策が直面する問題は、科学的不確実性にあるのではない。いまだ議論の対象となっているのは、科学的証拠が商業的利益と衝突した際、その証拠を政策に実質的に反映させるかどうかだ。」と主張した。
今回の研究をめぐる論争は、医療・科学界と、長年にわたり科学的知見に疑問を呈したり、政策決定に反映しなかったりしてきたトランプ政権との緊張が一段と高まっていることを浮き彫りにした。
トランプ政権は経験豊富な科学者を多数解雇し、米国が医療革新を主導する上で重要とされてきた科学研究への助成金も削減している。













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