
自動車のメーターパネルが姿を消した。代わりに速度などの情報がフロントガラス下部に投影され、運転席だけでなく助手席や後部座席からも確認できる。BMWの「ノイエクラッセ」を採用した新型iX3のことだ。
「手はステアリング、目は道路に」
直感的な操作を実現するため、5日(現地時間)にミュンヘンで公開されたBMWノイエクラッセ新型iX3は、従来のメーターパネルを廃止し、運転情報をパノラミックビジョンに統合した。パノラミックビジョンを含む「パノラミックiドライブ」はBMW初の技術であり、「パノラミックビジョン」という名称自体もBMW独自の造語だという。

運転席正面のフロントガラス下部に位置するパノラミックビジョンはディスプレイではなく、Aピラー間を横切る黒い表面に3D情報を投影する仕組み。従来のBMW iドライブではカーブドディスプレイがメーターパネルを兼ね、走行や車両情報を表示していたが、今回の方式は大きく異なる。
最重要な走行データは安全性を考慮し、パノラミックビジョン左側のステアリング上部にドライバーの視線に合わせて投影される。加えて3Dヘッドアップディスプレイにより、ナビゲーションや自動運転の情報を立体的に確認できる。

パノラミックビジョン中央および右側に表示されるコンテンツはセンターディスプレイからカスタマイズ可能で、助手席の乗員が希望する設定をドラッグ&ドロップすれば即座に反映される。パノラミックビジョンは後部座席からも鮮明に視認でき、全乗員が3D効果を共有できる。BMWパノラミックiドライブ副社長ヨルン・フライヤー氏は技術セッションで「パノラミックビジョンはガラス全体に投影され、光条件に左右されずあらゆる角度から確認できる」と説明した。
BMWパノラミックビジョンは新型iX3に初めて搭載されたパノラミックiドライブの一技術であり、その意義は直感的な操作を通じてドライバー中心の環境を構築する点にある。ドライバーがメーターパネルを見るために視線を外す危険性を補うため、直感的技術で解決を図ったものだ。
BMWグループのノイエクラッセ総括マイク・ライヘルト氏はインタビューで「パノラミックiドライブへの移行は社内で激論を呼んだ」と述べ、「家電製品のようなUI革新を追求し、ディスプレイに囲まれた感覚を排除して車内全体を活用することを目指した」と語った。また「ノイエクラッセは1960年代にBMWを危機から救ったモデルであり、今回再び採用したのは大きな変革を象徴するためだ」とし、単なる新車種ではなく新しいポートフォリオ全体を示すものだと強調した。

UX・UI開発総括シュテファン・デュラッハ氏も「パノラミックビジョンの開発においてデザインチームはこのコンセプトを非常に気に入った。インテリアデザインを根本から刷新できたからだ」とし、市場で見られる大型スクリーン方式とは異なるアプローチを評価した。さらに「デザインチームとは初期段階から緊密に協力し、論争ではなく協働の中でこのコンセプトを形にした」と述べた。
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