インドの大気汚染問題が深刻化している。
先月18日、スイスの大気質分析企業IQAirによれば、インドの首都ニューデリーでPM2.5濃度が907㎍/㎥に達したことが明らかになった。
今年に入って最悪の数値である。
ニューデリーのある観測所では、PM2.5濃度が980㎍/㎥を記録。これは世界保健機関(WHO)が定める24時間基準推奨限度(15㎍/㎥)の65倍に相当する。
ニューデリーでは毎年晩秋から冬にかけて、大気汚染が特に深刻になる。農作物の収穫後に残渣を焼却する行為が、大気汚染原因の約40%を占めるとされる。
この影響で、多くのニューデリー市民が咽頭炎に苦しんでいる。
咽頭炎は、ウイルスや細菌感染により咽頭や喉頭に炎症が生じる疾患で、急性と慢性の2種類がある。
急性は急激な気温変化や風邪、過労、体力低下、細菌感染などが原因で発生する。一方、慢性は急性咽頭炎が繰り返される場合や、過度の喫煙や飲酒、刺激性食品の摂取、喉の酷使などが原因となる。
刺激性ガスや化学物質の吸入、または副鼻腔など隣接部位から炎症が広がり、咽頭炎を引き起こすケースもある。
咽頭炎の初期症状には、喉の異物感や乾燥感、軽い咳などが挙げられる。症状が悪化すると、痛みで食事が困難になり、高熱や頭痛、全身の倦怠感、食欲不振といった症状が現れる。
口臭や舌苔が生じることもあり、喉頭に炎症が広がると声がかすれ、耳の下に痛みを感じることもある。
急性の場合、初期症状には喉の乾燥感や痛み、嚥下時の強い痛みがあり、咳や痰、食欲低下などを伴うことも多い。
慢性の場合は喉の乾燥や痛み、かゆみが続き、疲れがたまっていると症状が悪化して声がかすれたり小さくなったりする。
インドでは大気汚染関連疾患により毎年100万人が命を落とすほど、状況は深刻だ。
微小粒子状物質は特に心臓や肺の疾患を引き起こす可能性があり、短期間の曝露でも喘息発作や急性気管支炎、不整脈を悪化させる恐れがある。長期間にわたり高濃度に曝露される場合、心血管疾患や呼吸器疾患、肺がんのリスクが著しく増大する。
微小粒子状物質が体内に侵入すると、様々な臓器に活性酸素を供給し、細胞の老化や炎症を促進する。その影響は呼吸器系にとどまらず、全身の臓器に及ぶ。
妊婦や乳幼児、子供、高齢者、心血管疾患患者、呼吸器疾患患者などの敏感群は、微小粒子状物質への曝露リスクが特に高い。
高齢者は免疫力の低下や未診断の疾患を抱えている可能性があるため、特に注意が必要だ。
微小粒子状物質への長期的な曝露は、呼吸器粘膜の刺激や肺機能の低下を引き起こし、呼吸困難や胸部の圧迫感、喘鳴、喘息症状を悪化させる。
さらに、血管機能障害により胸部の圧迫感、胸痛、動悸、呼吸困難といった心血管系の症状が現れ、また、かゆみや痛みを伴う皮膚アレルギーやアトピー性皮膚炎、疼痛、ドライアイなども引き起こされる可能性がある。