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トランプ流「狂人戦略」の真相、初期コストゼロで最大限の譲歩を引き出す交渉術とは

竹内智子 アクセス  

カナダとメキシコが関税和解の見返りとして自ら国境警備の強化と麻薬性鎮痛剤「フェンタニル」の遮断に乗り出したことで、ドナルド・トランプ大統領の「交渉術」に注目が集まっている。

今回も「衝撃と恐怖」を前面に押し出し、戦略的に目的を達成するトランプ大統領の交渉術が功を奏したと分析されている。この圧力戦術はトランプ大統領の典型的な交渉スタイルで、相手国を締め上げ、最終的に一銭も使わずに望むものを手に入れる手法だ。自らを狂人のように見せかけ、相手に恐怖を与えるため「狂人戦略」とも呼ばれている。特に、交渉相手の国に「自分の思い通りにならなければあらゆる手段を講じる」と信じ込ませたあと、突如緊張を緩和し、相手からより多くの譲歩を引き出す手法だ。

実際、トランプ大統領は第1期任期中にもメキシコに対し「不法移民を放置し続けるなら北米自由貿易協定(NAFTA)を破棄する」と脅し、その後NAFTAの破棄と代替協定である米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の締結を実現させた。過去には韓国もトランプ大統領の様々な圧力戦術に悩まされた。2018年の米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉過程がその典型的な例として挙げられる。当時、トランプ大統領は再交渉に消極的な韓国政府に対し「再交渉しなければFTAを終了する」と圧力をかけた。彼は当時の実務者に「彼ら(韓国側)に、この男は狂っているから今すぐにでも手を引く可能性があると伝えろ」と指示したこともあったという。

北朝鮮との罵倒合戦を繰り広げたあと、2018年に電撃的に米朝首脳会談を実現させたこともある。トランプ大統領は2017年の就任直後、第6回核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射など、連日挑発を続ける北朝鮮のキム・ジョンウン国務委員長に対し、「リトル・ロケットマン」や「私の机には核兵器発射ボタンがある」といった人身攻撃や暴言を躊躇なく浴びせた。その一方で「彼に会えるなら光栄だ」といった友好的な発言も織り交ぜ、劇的な会談を演出した。

一部では不動産実業家出身の彼のビジネス手法が政治交渉に応用されたとの見方もある。トランプ大統領は1987年にジャーナリストのトニー・シュウォーツと共著で出版した『トランプ自伝(原題:The Art of the Deal)』で「初期コストを最小限に抑え、利益を最大化する」という単純だが実行困難な戦略を紹介している。

アメリカ・タフツ大学のダニエル・ドレズナー教授は「トランプ大統領は自身の予測不可能性を強みとして活用したがっている」と評している。

竹内智子
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