
無理な構造改革を掲げてきたドナルド・トランプ米大統領だが、就任後最初の100日間で米連邦政府の支出が前年比で大幅に増加したことが明らかになった。
米CBS放送は、4月29日(現地時間)、財務省が公開する日次財務諸表を分析した結果として、トランプ大統領が再び政権を担った今年1月20日以降の100日間で政府予算支出額が前年同期のバイデン政権期に比べて2,200億ドル(約31兆4,810億3,391万円)増加したと報じた。
過去10年間の「就任後100日間」政府支出を比較したところ、2021年を除いて今年の支出額が最も多かったという。2021年は新型コロナウイルスの影響で米政府が財政支出を大幅に拡大した年に当たる。
CBSは、テスラCEOのイーロン・マスク氏が主導する経費削減プロジェクト「DOGE」の取り組みにもかかわらず、トランプ政権が支出を縮小できなかった理由として、「政府予算の大半を占める固定費が着実に増加しているため」と分析した。
具体的には、社会保障年金の支給額は就任後100日間で3,899億ドル(約55兆7,929億7,783万円)に達し、前年同期比376億ドル(約5兆3,803億9,488万円)増加した。また、
高齢者向け医療保険「メディケア」の支出は379億ドル(約5兆4,233億2,357万円)、低所得者医療支援制度「メディケイド」114億ドル(約1兆6,312億8,993万円)それぞれ増加しており、いずれも前年を大きく上回った。
特に現役軍人の給与や退役軍人支援予算も連邦政府支出全体の中で大きな割合を占めており、「これらの削減は政治的にも現実的にも困難だ」とCBSは付け加えた。
さらに、トランプ政権下で激化した関税戦争の影響により金利が上昇し、国債の利払い費用が増加していることも、固定支出の一部だと指摘している。
一方で、トランプ政権が「DOGE」によって就任後100日間で1,600億ドル(約22兆8,952億9,739万円)の支出削減を達成したと主張しているが、CBSは「これは全体の政府支出に対してごく一部にすぎない」と述べた。
トランプ政権はすでにDOGEの削減額をはるかに上回る2,200億ドルを前年より多く支出したことになる。
また、削減額は連邦政府の年間予算(6兆8,000億ドル・約973兆501億円)を含む全体の財政支出規模と比較すると2%に過ぎず、これは月1万ドル(約143万956円)を支出する家族がその支出を月9,800ドル(約140万2,336円)に減らしたのと同程度だと指摘した。