
欧州連合(EU)は、ウクライナ戦争におけるロシア、北朝鮮、ベラルーシの侵略犯罪を処罰するための特別裁判所の設立を推進している。これは、現在の国際刑事裁判所(ICC)ではロシアを裁けないという限界を補完する狙いがある。
8日(現地時間)、ロイター通信によると、EU加盟国はウクライナで近く外相会議を開き、欧州評議会が主導する特別裁判所設立案を承認する予定だ。ウクライナのイリーナ・ムドラ大統領補佐官はテレビインタビューで「特別裁判所設立に関する法的手続きを終え、来年から本格的に運営を開始する計画だ」と述べた。
ICCは加盟国のみを処罰できるという制約がある。ICCが侵略犯罪を起訴できるのは、侵略国と被侵略国の双方が加盟国であり、さらに特別協定を締結している場合に限られる。
しかし、ロシアはICC加盟国ではない。2023年にウラジーミル・プーチン大統領に対する戦争犯罪容疑のICC逮捕状が発行された際も、ロシアは「無意味だ」として無視した経緯がある。
今回設立される特別裁判所は、ウクライナで発生した戦争犯罪ではなく侵略犯罪を裁く役割を担う。侵略犯罪とは、他国を侵攻したり、政治・軍事的支配を試みた政府や軍の首脳部を対象とする犯罪だ。このため、特別裁判所はロシア、北朝鮮、ベラルーシの政府および軍の首脳部約20名を起訴対象として想定しているとされる。
ウクライナは、自国領土に侵入したロシアに加え、北朝鮮が兵力と武器を支援し、ベラルーシが侵攻時に便宜を図ったと主張している。特別裁判所が北朝鮮の兵力と武器支援を侵略犯罪として裁く場合、金正恩国務委員長の起訴の可能性も注目される。
EUのカヤ・カラス外交安全保障上級代表は「特別裁判所設立に関する最終的な承認が近く行われるだろう」と述べた。