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2025年05月15日木曜日
ホームニューストランプの「バイデン政策抹消計画」?グリーン政策をことごとく解体、電気自動車補助金も2026年で終了へ

トランプの「バイデン政策抹消計画」?グリーン政策をことごとく解体、電気自動車補助金も2026年で終了へ

引用:Getty Images

米下院の共和党議員らが、ジョー・バイデン前大統領が導入したインフレ抑制法(IRA)のクリーンエネルギー関連支援策の廃止に乗り出した。

下院歳入委員会所属の共和党議員らは12日(現地時間)、IRAの電気自動車税額控除制度(30D)などを廃止する内容を含む税制法案を公表した。商用電気自動車への税額控除(45W)や、韓国のバッテリー企業が恩恵を受けていた先端製造税額控除(AMPC・45X)なども段階的廃止の対象となった。

○トランプの減税案の犠牲に

共和党下院議員らが推進するのは米国の税制改革案だ。ドナルド・トランプ大統領は予算調整手続き(budget reconciliation)を活用し、自身の主要経済政策を「大きく素晴らしい一つの法案」にまとめ、議会で一括して可決させることを望んでいる。通常の立法や既存法案の廃止には実質的に上院の60%の賛成が必要だが、予算調整手続きは50%の支持で上下両院を通過できるためだ。

この法案に盛り込まれる税制改革案には、トランプ大統領の減税・雇用創出法(TCJA)やチップ免税など各種減税政策が含まれるが、議会を通過させるには支出削減か増収策を併せて盛り込む必要がある。そのため、バイデン前大統領の看板政策であるIRAが共和党の廃止対象の筆頭に挙げられてきた。ロイターによると、この法案がそのまま成立した場合、約65億ドル(約9,570億円)規模の支出削減効果が見込まれるという。

この日、議員らが公表した税制法案で最も注目されるのは、消費者が電気自動車を購入する際の7,500ドル(約110万3,800円)の支援である電気自動車税額控除(30D)を2026年末までに限定し、その後廃止するという内容だ。当初は2032年末までの運用が予定されていたが、6年前倒しとなった。また、2009年から2025年までに米国で20万台以上の電気自動車を販売した企業に対しては、今年末までのみ恩恵を与えることとした。

これは、テスラ、GM、現代自動車グループなど主要な電気自動車メーカーが、来年から7,500ドルの補助金なしで車を販売しなければならない状況になることを意味する。リースやレンタカーなど商用電気自動車の場合、税額控除を受けるための原産地要件を緩和する制度(45W)も当初の計画より7年前倒しし、今年末までの運用にとどめる構想だ。

○「中国牽制」は追加

低炭素エネルギー生産に対する税額控除も段階的に縮小される見通しだ。この法案は、投資税額控除(48E)と生産税額控除(45Y)の金額を2029年には従来の80%、2030年には60%、2031年には40%に急激に減らし、2032年から廃止する方針を含んでいる。水素エネルギープロジェクト、電気自動車充電所、家庭用再生可能エネルギー税額控除も廃止される予定だ。

韓国のバッテリー企業の投資を誘致したAMPC税額控除も2031年まで段階的に縮小され、2032年からは廃止される可能性が高まった。当初は2033年まで安定して受けられるはずだった恩恵が急速に失われることになる。ロビイング支援会社のThe Livingston Group, LLCの室長、キム・ヨンボム氏は「共和党議員の間で、この制度の恩恵が米国企業ではなく韓国企業に集中しているという批判が多かった」と述べた。

各種恩恵を受ける基準をより厳格にする内容も含まれた。クリーンエネルギー支援を受ける条件には、ほぼすべての項目に「禁止された外国団体」への言及が追加された。中国産の原材料を多く使用したり、ライセンス契約を結んだりする場合には支援を受けられない点が明確にされた。これは、昨年米議会が中国企業や製品に連邦政府資金が流れないようにする各種法案を超党派で大規模に可決した影響と分析される。

○最終案では変更の可能性も

この日公表された税制法案は最終案ではない。予算調整法案に反映され、この内容が上下両院でそれぞれ可決される過程で変更される可能性も残されている。

特に共和党議員の中でも、IRAによって投資を誘致した地域の議員らは突然の投資恩典撤回に否定的だ。3月には共和党下院議員21名が下院歳入委員会の共和党指導部にIRAのクリーンエネルギー支援策を廃止しないよう求める書簡を送った。共和党は現在、下院435議席中218議席、上院100議席中53議席を確保している。一部でも離脱すれば予算調整法案全体が可決されない可能性があるため、一票の重みが大きい。

関連団体や企業の反発も変数となる。Evergreen Actionの専務理事、レナ・モフィット氏はAP通信に対し、この法案が米国の製造業投資ブームを「無力化する」と批判した。米環境団体のE2は、IRAと関連する税額控除制度により米国に1,310億ドル(約19兆2,740億円)規模の新規投資が発生したと試算している。一部の企業は、IRAから関連内容が廃止されても、既存の投資を守るための「トランプ流」の新たな支援策が出る可能性に期待を寄せている。

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