
人工知能(AI)を搭載したロシア軍の高性能偵察ドローンがウクライナ軍によって撃墜された。
ウクライナの第63独立機械化旅団は15日(現地時間)、フェイスブックでロシア軍の最新偵察ドローン「ザラ」(ZALA)Z-20の撃墜映像を公開した。
ザラZ-20はロシアのザラ・エアログループが開発した最新型電動ドローンだ。低騒音・低熱特性を持ち、探知回避に優れ、環境制約の少ない先端兵器である。6時間以上の連続飛行が可能で、運用高度は100〜5,000m、最高速度は110km/hに達するとされる。
ザラZ-20の翼幅は4mで、前モデルのザラZ-16(2.8m)より大きく、より長い滞空時間と広い運用範囲を誇る。
ロシア軍は2023年から前線にザラZ-20を投入してきたが、ウクライナ軍が運用する安価なFPVドローンにしばしば撃墜され、その限界が指摘されていた。

今回第63独立機械化旅団が公開した映像では、ザラZ-20と思われる機体が上空でウクライナ軍の攻撃を受け墜落する様子が捉えられている。
第63独立機械化旅団はフェイスブックで「ザラZ-20はロシアの軍事パレードにも登場した兵器だ」とし、「このドローンは目標を感知できるAIを搭載しているとされ、価格は20万ドル(約2,900万円)に達する」と説明した。
さらに「このドローンはロシアの軍事パレードから真っ先に地面に『着陸』した」と皮肉り、「このようなドローンがウクライナ領内で広く使用されている」と指摘した。
現地メディアは「ウクライナ軍の今回の攻撃は、ロシアの『最も高価な発明品』さえもウクライナに太刀打ちできないことを改めて示した」と評価した。
平和会談が結局延期に…ロシア「ゼレンスキーは道化師、敗者」と猛批判
一方、3年ぶりに再開されるはずだったロシアとウクライナの平和会談は、双方の神経戦の末に一旦不発に終わった。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が不参加を表明し、ドナルド・トランプ米大統領も出席しない意向を示したため、首脳会談は早々に白紙となっていた。
また、15日に予定されていた交渉代表団間の会談も1日延期され、今回の平和会談が事実上水泡に帰したのではないかとの懸念が出ている。
AP通信などは、トルコ・イスタンブールで予定されていた代表団の会合が当初の予定通りには行われず、16日から始まると報じた。16日にロシア・ウクライナ・トルコ、米国・ウクライナ・トルコ間の三者会談がそれぞれ予定されているとの報道もあった。
ロシア側は当初、この日の午前10時(イスタンブール時間)に会談が始まるという報道を否定した後、午後から交渉が行われると予告したが、結局この日の午後9時まで交渉は行われなかった。

双方は交渉前から緊張した駆け引きを続けていた。ウクライナはロシア代表団が実質的に交渉権限のない「飾り物」だと批判。実際、ウラジーミル・メジンスキー大統領補佐官が首席代表として率いるロシア代表団は次官と局長級で構成されていた。
ロイターもロシアが「二流の代表団」を派遣したと指摘。これに対しウクライナは、ルステム・ウメロフ国防相を団長とし、情報・軍・外交当局の次官級で構成された代表団を発表。ロシア代表団と同格の交渉レベルを設定した形だ。
一方、ロシア側は「我々の代表団は各分野の最高の専門家で構成されている」とし、「誰が飾り物などと言ったのか。(そう言った者は)道化師、敗者、教育を受けていない人間だ」と激しく非難した。
結果的に、世界の期待を一身に集めていたトルコでの平和会談は、仲介者であるトランプ大統領とプーチン大統領、そしてゼレンスキー大統領のいずれもが出席しない中途半端なものとなった。