暗号資産市場でビットコインを強く支持する人物の一人であるウィリー・ウー氏が、今後10年間におけるビットコインの年平均成長率(CAGR)が10%を下回るとの見通しを示した。

ウー氏は、ビットコインがもはや過去のような爆発的な成長を遂げることは難しく、長期的には安定したグローバル・マクロ資産として定着すると分析している。
19日、暗号資産メディア「コインゲイプ」などの報道によると、同氏は「2017年以前にビットコインが年間100%以上のCAGRを記録していた時期は、既に過去のものとなった」と評価したという。
さらに、2020年を転換点として、ビットコインが機関投資家や国家レベルの主体によって本格的に購入され始め、資産としての性質が完全に変化したと説明した。
特に、昨年1月にビットコイン現物ETFが導入されたことを受けて、機関投資家の市場参入が急増した。中でもブラックロックが運用する「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」は、上場以来450億ドル(約6兆5,189億374万円)超の資金流入を記録し、市場で最も人気のあるETFとなっている。
このような機関投資家の大規模な資金流入により、ビットコインのCAGRは30~40%程度に低下しており、この数値は継続的に下降傾向にある。
同氏はまた、ビットコインを「過去150年間で登場した初の新しいグローバル・マクロ資産」と評価し、今後10年間の平均成長率は8%前後で安定するとの見方を示した。この数値は、世界の通貨供給量の増加率(5%)とグローバルGDP成長率(3%)を合計した数値と一致するとも説明している。
さらに、長期的にはビットコインの収益率も徐々に平準化されるが、それでも公開市場においてこれに匹敵する資産は稀であると強調した。
一方、ブルームバーグのコモディティ戦略アナリストであるマイク・マクグローン氏は、ビットコインと金の価格比率が2021年以降、約32倍という水準で大きな変化なく推移していると分析した。米大統領選後に一時的な買い圧力が観測されたものの、ビットコイン価格は10万5,000ドル(約1,521万5,571円)の抵抗線を突破できていない状況だという。
こうした動きは、ビットコインがもはや短期的な投機資産ではなく、マクロ経済のリスクヘッジ手段としての地位を確立しつつあることを示唆している。長期的な収益率は低下する可能性があるが、資産としての安定性と信頼性はむしろ強化されているといえる。
なお、ウー氏の主張と同様の傾向は金市場でも観察されている。金は1970年代のインフレ期に大幅な値上がりを見せたのち、1980年代以降は年平均収益率が一桁台に低下したが、依然としてグローバルな資産配分において重要な役割を担っているといえるだろう。