日本、米国、欧州などの国債市場が揺れ動く中、「セル・米国(米国売り)」の懸念が再燃している。ドナルド・トランプ米大統領の関税政策と減税案による財政悪化への不安から、米国への投資信頼が低下している。そんな中、日本の国債金利(利回り)上昇(国債価格下落)が投資家の離脱の可能性をさらに高めている。財政拡大を大統領選の公約に掲げた韓国も、今後金利上昇圧力が強まる可能性がある。

21日(現地時間)、米国の30年物国債利回りは前日0.123%ポイント上昇し、心理的節目となる5%を突破、2023年10月以来の最高値である5.092%を記録した。10年物も4.599%まで急騰し、2月以来の最高値を更新した。先月初めのトランプ政権による相互関税発表後、債券金利が急騰した際の状況と類似している。国債金利の急騰を受け、ニューヨーク株式市場の主要3指数は軒並み1%以上下落した。
欧州最大の経済大国ドイツの30年物国債利回りは22日、取引中に3.179%まで上昇し、2カ月ぶりの最高値を記録した。ドイツの長期国債金利は3月14日に3.199%まで上昇した後、下落傾向にあったが、最近再び上昇基調に転じている。
日本の長期国債利回りは、日本銀行(BOJ)の国債購入縮小への懸念から連日上昇している。超長期債に分類される30年物国債利回りは、取引中に3.196%まで上昇し、前日(3.185%)に続いて過去最高を更新した。40年物は3.675%と、3日連続で史上最高値を更新した。
専門家らは、日本の国債利回り上昇がむしろ投資家の関心を引き付けているとし、米国債市場からの海外、特に日本の投資家の離脱を警告している。日本は1兆1300億ドル(約163兆7,515億4,310万円)規模の米国債を保有する最大の海外投資国だ。フィデリティ・インベストメンツのファンドマネージャー、マイク・リデル氏は「(国債)金利の急騰により、日本の投資家が海外資産を売却し、資金を日本に還流させる動機になりかねない」と警告した。
特に22日、日米財務相が会談し、為替問題は貿易交渉で取り上げないとの趣旨の声明を出したにもかかわらず、円はドルに対して強含みを示した。ドイツ銀行為替研究責任者のジョージ・サラベロス氏は「最近、米国債利回りの上昇と円高が同時に起きている。これは米国の財政リスク加速を示す最も重要な兆候だ」とし、米国債が日本国債との需要競争に直面していると分析した。東京外国為替市場での円/ドル相場は、1ドル=143.34〜143.35円で推移し、円高傾向を示した。
ただし、日本でも財政問題が取り沙汰される状況は、日本市場にとって好材料とは言えない。モルガン・スタンレーは「構造的な供給過剰と需要不足により、日本国債(価格)がさらに下落する可能性がある」と指摘した。
「セル・米国」が本格化すれば、インドなど新興市場への資金が大規模に流入する可能性があるとの見方もある。特にインド、アルゼンチン、ギリシャ、ブラジルなどが次の長期投資先として注目されている。バンク・オブ・米国は「ドル安、米国債利回り上昇、中国経済の回復を考慮すると、新興国株式ほど効果的な資産はない」とし、新興国を次の投資先に挙げた。JPモルガンはこれに先立ち、新興国株式の投資比率を「中立」から「オーバーウェイト」に引き上げている。