
中華圏を中心に新型コロナウイルスの変異株が拡大し再流行する中、中国国内の感染者数がピークに達し、来月から減少に転じるとの見通しが示された。
25日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、中国の呼吸器専門家、チョン・ナンシャン博士は24日に開催された科学技術イベントで「今回の新型コロナの流行は現在ピークにあり、6月からは減少に向かうと予測している」と述べた。
SCMPは、チョン・ナンシャン博士が「中国のアンソニー・ファウチ」と称されるほど、自国の新型コロナ対策の第一人者として知られていると伝えた。米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ前所長は、2022年まで40年以上同研究所を率い、パンデミック時には米国の感染対策の責任者を務めた人物だ。
中国疾病予防管理センター(CDC)が8日に発表した報告によると、急性呼吸器感染症の陽性率は4月から上昇傾向にあるという。4月の1か月間で全国で確認された感染者数は16万8,507人に達した。CDCがそのうちの5%を分析したところ、すべてオミクロン株で、主要な系統はXDV系統であった。最近、中華圏で感染拡大の主因となっているNB.1.8.1もXDV系統に属している。
同博士は、3月から5月にかけて香港やシンガポール、イギリス、フランス、ブラジル、ノルウェーなどで感染者数が増加したと指摘した。実際、タイでは5月11日から17日までの1週間で感染者数が3万3,030人に達し、前週比で2倍以上に急増した。タイ最大の連休である4月のソンクラーン祭りの影響で感染拡大が加速したとの見方もある。
また、中華圏だけでなく、最近では米国でも新型コロナの変異株が確認されている。
米CBSやフォックス・ニュースなどは24日、米疾病予防管理センター(CDC)が中国で拡大を主導したXDV系変異株NB.1.8.1が米国でも検出されたことを正式に確認したと報じた。ただし、米国内での感染例は20件未満にとどまっている。CDCの報道官はフォックス・ニュースに対し、「すべての変異株を監視しており、割合が増えれば公式ダッシュボードに掲載する」と述べた。