
政府が管理する備蓄米30万トンを、従来の競争入札方式から随意契約で売り出すことを決定した。随意契約は複雑な流通経路を経ないため、消費地価格が大幅に低下する効果が見込まれる。米価高騰で農林水産相が交代するなど異例の事態に直面した政府が、米価を抑制できるかに注目が集まっている。現地では米価下落への期待感が少しずつ広がっている。
26日の共同通信社と日本経済新聞によると、政府は備蓄米30万トン放出を柱とする詳細指針を発表したという。変更点は放出方式だ。これまでは入札を実施し、最高額を提示した業者に備蓄米を販売していたが、今後は随意契約を通じて大手小売業者などに直接供給する。流通段階の削減により市販価格の引き下げ効果を狙ったものと見られる。小売業者向けの備蓄米販売価格は60キログラムあたり1万700円に決定された。これは、今まで3回行われた備蓄米入札の平均落札価格2万302円の半額程度である。
現地メディアによると、消費者は6月初めに小売店で5キログラムあたり税込み2,160円でこの備蓄米を購入できる見込みだ。新農林水産相の小泉進次郎氏は詳細指針の発表時に「米価に対する国民の不安を解消する」と述べた。小泉農水相は、江藤拓前農水相が「(贈られた米が多すぎて)米を買ったことがない」と発言し物議を醸した後、事実上更迭された21日に就任した。
農林水産省が19日に発表した全国小売店の米価格調査によると、5月5日から11日までの5キログラム入り米の価格は4,268円だった。総務省の調査結果では、4月の日本の消費者物価指数は前年同月比3.5%上昇したのに対し、米価は98.4%上昇した。
日本政府との随意契約対象は、米を1万トン以上取り扱う小売業者だ。政府は運送料を支援し、精米料金は小売業者が負担する。放出される米は2022年産20万トンと2021年産10万トンだ。今年産の新米が出回る8月までは毎日先着順で申請を受け付ける。25日の日本農業新聞によると、大手ネット通販「楽天グループ」が参加の意向を示しているという。
現地では米価下落への期待感が広がっている。共同通信社が24、25日に実施した全国電話世論調査では、回答者の59.8%が小泉農水相就任により米価が「下がると思う」と答えた。「下がらないだろう」との回答は35.1%だった。先に共同通信社が17、18日に行った世論調査では、政府の米価対策が「不十分だ」との回答が87.1%に達していた。
一方で、備蓄米の放出には限界があるとの指摘もある。政府の残りの備蓄米は60万トンで、随意契約で30万トンを売却すれば残るのは30万トン程度にすぎないためだ。日本経済新聞は「当面は効果があるかもしれないが、市場原理を無視する行為は激しい価格変動などの副作用を引き起こす恐れがある」と指摘した。日本農業新聞は25日、「今年産の主食用米の予想生産量が4月末時点で前年より40万トン多く、かえって収穫期の米価暴落の可能性もある」と懸念を示した。
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