
米国のドナルド・トランプ大統領が韓国に防衛費分担金の引き上げを要求する可能性があるとの観測が浮上する中、米安全保障の当局者が今月初め、日本政府の関係者に在日米軍駐留経費をめぐる日本側負担増額を打診し、政府が数百億円の引き上げを検討していることが明らかになった。
29日の朝日新聞の報道によると、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)の関係者は、今月上旬に訪米した日本政府の国家安全保障局(NSS)関係者に在日米軍駐留経費の増額について言及したという。この問題は関税交渉とは別に、NSCとNSSで協議中だという。
トランプ大統領は4月中旬、関税交渉のため訪米した赤沢亮正経済再生相に対し、日本が負担する在日米軍駐留経費が少なすぎると不満を表明した。今回の増額要求はその延長線上にあるとみられると朝日は伝えている。
韓国で一般に「防衛費分担金」と呼ばれる米軍駐留経費は、日本では「思いやり予算」と呼ばれている。現行の日米協定は2027年3月に終了し、日本は年平均約2,110億円を負担している。
日本政府は米側の要求を受け、日本が建設し米軍に提供する住宅や防災施設などに関する「提供施設整備費(FIP)」を数百億円引き上げる案の検討に着手した。増額対象となる設備は米軍の要望を踏まえ防衛省が決定する見通しだ。
政府の関係者は朝日に対し、「トランプ大統領が日本の在日米軍駐留経費の負担に不満を示した以上、日米当局間で協議する必要がある」と語った。ただし、トランプ大統領が数百億円の増額で満足するかどうかについては、政府内でも懐疑的な見方が強いと朝日は伝えている。
関連して、トランプ政権1期目にホワイトハウスで安全保障担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏は2020年出版の回顧録で、トランプ大統領が日本に在日米軍駐留経費として年間80億ドル(約1兆1,501億円)を要求したと明かしている。
韓国と米国はジョー・バイデン前政権時に新たな防衛費分担特別協定(SMA)を締結し、2026~30年の韓国の防衛費分担金の規模が確定している。しかし、トランプ大統領は昨年の大統領選挙戦で韓国を「マネーマシン」で「裕福な国」と呼び、防衛費分担金の大幅引き上げが必要だと主張していた。