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「米不足」は演出だった!?JAが米を「抱え込み」、農林族は「票集め」…JAと農林族の「利権まみれの八百長劇場」

望月博樹 アクセス  

引用:Shutterstock*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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今月27日、埼玉県朝霞(あさか)市のスーパー「オリンピック朝霞台店」の米売り場には「一家族1袋まで」という張り紙が掲示されていた。「供給が安定するまでご理解を」という内容も記載されていた。昨年10月にも同様の掲示があったが、今回異なるのは価格の高騰である。最も安い5kg入りの米が4,966円と、当時の3,454円に比べて44%上昇している。東京・麻布の高級スーパー「ナショナル麻布」では、最安の米が5,900円、最高は6,480円と例年の2,000円台の約3倍となっている。

いわゆる「令和の米騒動」は10か月にわたって続いている。昨年8月、政府が巨大地震注意報を発表し、全国的に買い占めが起こり米価が上昇した。注意報解除後に価格が下がるどころか、かつてない水準にまで高騰が続いている。今年の米消費量は約700万トンとされるが、供給面では昨年の収穫量は679万トンで、輸入米も増加した。政府は3月以降、備蓄米31万トンを市場に放出している。しかし今月の平均価格は5kgあたり4,285円と、過去最高を更新している。

供給が需要を上回っているにもかかわらず価格高騰が続く背景には、農家の利益を代弁する自民党の農林族議員や、農産物の流通を握る農業協同組合(JA)の存在が指摘されている。米価の高騰を追い風と捉えるJA、備蓄米の放出を担う農林水産省、そしてJAの組合員票に依存する自民党農林族。こうした三者の利害が絡み合い、事態の長期化を招いているとの見方もある。

産経新聞によると、元農水省幹部は「政府の備蓄米の9割以上を落札しているJAが意図的に出荷を遅らせ、供給を滞らせている」と述べたという。JA全農は備蓄米31万トンのうち29万6,000トンを確保しているが、卸業者に渡したのは約10万4,000トンにとどまり、スーパーまで供給された量は2万トン未満とされている。精米の手間や輸送手段の確保が困難であると説明しているが、産経は「詭弁に近い」と批判した。「米流通を最も理解しているのはJAであり、精米は小売業者に任せればよい」としている。

JAは約1,000万人の組合員を抱え、選挙のたびに自民党農林族を支援している。農林族の代表格である森山裕幹事長は、米価高騰のさなか「米は安ければよいというものではない」、「生産者あっての米だ」と発言し、物議を醸した。

「支持者から米をもらうため、自分で買ったことがない」と発言し、今月20日に更迭された江藤拓前農水相も、農林族の一人とされる。政界では、江藤氏が石破首相の提案した「備蓄米の随意契約による販売」を拒否したとの見方が出ている。JAが競争入札で高値を付けて優位に立つ中、石破首相は備蓄米を卸業者に安価で売却する随意契約を提案したが、江藤氏は「市場価格に政府が介入すべきでない」としてこれを退けたという。

7月の参院選を控えた石破首相は、農家票の一部を失ってでも支持率を回復すべく「米価との戦い」に乗り出した。支持率が30%台と低迷する中での敗北は政権崩壊につながる恐れがある。石破首相は「一日も早く米価を3,000円台に戻す」と明言し、江藤氏の後任に小泉進次郎元環境相を起用した。小泉氏は就任演説で「備蓄米の随意契約による販売を検討するよう石破首相から指示を受けた」と述べ、「特定団体に迎合しないことが何より重要」として、JAを事実上批判した。小泉氏は2015〜17年に自民党農林部会長として農業改革を進め、JAと対立した経歴を持つ。

小泉氏は競争入札を停止し、卸業者や大手小売店に対し、入札時価格の半額で備蓄米30万トンの提供を進めている。随意契約に申し込んだ企業には楽天やファミリーマート、イオン、イトーヨーカドーなどが含まれている。政府は29日、一部業者への備蓄米引き渡しを開始し、近いうちに消費者のもとへ届く見通しだ。

消費者の間では、現在放出中の備蓄米を来月初旬にはオンライン・実店舗で2,000円台前半で購入できるとの期待も出ている。1万トンを確保した日用品大手アイリスオーヤマは29日、読売新聞に対し「品質を確認後、できる限り早く安価な米を提供したい」と述べた。市場での米価格が2,000円台に安定すれば、石破首相が掲げる「3,000円台の米価」実現が参院選前に可能となり、支持率回復のきっかけになるとの見方も出ている。

望月博樹
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