
米トランプ政権が今年の3月に課した鉄鋼・アルミニウム関税を倍増させたことで、周辺国の反発が強まっている。カナダやオーストラリアなど主要輸出国から激しい反応が出ており、欧州連合(EU)は早ければ7月から報復措置を講じると予告した。
英BBCによると、EU委員会は先月31日(現地時間)の声明で「米国が鉄鋼の輸入関税を25%から50%に引き上げたことを深く遺憾に思う」と表明したという。同委員会は「EUは米国の関税引き上げに対し、追加の対抗措置を講じる用意がある」と主張した。さらに「相互に受け入れ可能な解決策が見出せない場合、既存および追加のEU措置は7月14日から自動的に発効する」とし、「状況次第でより早期に発効する可能性もある」と警告した。
米国のドナルド・トランプ大統領は3月12日、通商拡大法232条に基づき輸入鉄鋼・アルミニウムにそれぞれ25%の追加関税を課した。EUは4月、トランプ政権の鉄鋼関税に対抗し、総額210億ユーロ(約3兆4,257億円)相当の米国製品に報復関税を課す予定だったが、7月14日までの90日間保留していた。
トランプ大統領は先月30日、ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外のUSスチール工場での演説で、関税のさらなる引き上げを表明した。同日、SNSに「鉄鋼・アルミニウムへの関税を25%から50%に引き上げることを光栄に思う」とし、「これは6月4日の水曜日から施行される」と投稿した。
米商務省の統計によると、昨年の米国の鉄鋼輸入額のうち23%をカナダ製品が占めたという。以下、メキシコ(11%)、ブラジル(9%)、韓国(9%)、ドイツ(6%)、日本(5%)と続く。韓国貿易協会によれば、昨年の韓国の鉄鋼総輸出量に占める米国の割合は約13%だという。EUの場合、27か国の輸出額を合計すると、米国の輸入相手国ランキングで3位となる。
カナダの業界団体、カナダ鉄鋼生産者協会(CSPA)のキャサリン・コブデン会長は先月31日、「25%の関税でも厳しかったが、50%は天文学的な数字だ」と主張し、米国側も被害を免れないと強調した。カナダ商工会議所も今回の措置を「カナダの産業と労働者に対する直接的な攻撃だ」と批判した。オーストラリアのドン・ファレル貿易・観光相は関税引き上げについて「正当化できず、同盟国のとるべき行動ではない」と指摘した。