
米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は10日(現地時間)、北朝鮮が先月21日に清津造船所で進水に失敗した新型5000トン級駆逐艦を迅速に浮揚させ、復旧作業を進めるなど、艦船建造能力を誇示していると報じた。
38ノースは、北朝鮮が今月末までに艦船を復旧せよという金正恩北朝鮮国務委員長の指示に従い、目標を達成できると自信を示しているとし、ロシアの技術支援を受ければ艦船建造能力がさらに急速に発展するだろうと予測した。
専門家らは一般的に北朝鮮の海軍能力に懐疑的だ。しかし、北朝鮮は資源と時間、優先順位を明確にすれば、急速な進展を遂げる能力があることを繰り返し示している。沿岸防衛を超え、海軍の核武装化を加速させようとする北朝鮮の野心を考慮すると、注目に値する状況だ。
北朝鮮は2024年春から、西海の南浦(ナムポ)と日本海の清津(チョンジン)で新型の多目的駆逐艦の建造を開始した。4月25日に南浦で第1号艦が進水し、先月21日には清津で同級の2号艦の進水を試みたが失敗した。しかし、進水失敗から10~12日後に傾いた駆逐艦を直立させることに成功した。「6月の労働党中央委員会総会までに必ず復旧を完了せよ」という金委員長の指示に従い、順調に復旧が進められている様子だ。
5日、北朝鮮はこの艦船が羅津造船所に移動し、7~10日間の精密復旧作業を行うと報じた。8日には艦船が羅津(ラジン)の建造ドックにいる様子が確認された。
最近の展開は、北朝鮮の造船能力が相当なものであることを示す根拠となる。まず、北朝鮮が5000トン級駆逐艦を1年余りの期間に2隻も建造できるという事実が注目される。韓国の最高水準の造船所でも駆逐艦の建造に2~3年かかり、米国のインガルス造船所ではアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦(DDG-51)の建造に5年を要する。
ただし、5000トン級駆逐艦は最新型の韓国海軍のKDXや米国のDDG-51駆逐艦と同等のレベルではなく、5000トン級駆逐艦がまだ完成していないことを考慮すべきだ。それでも、北朝鮮の造船能力が急速に進展していることは明らかだ。
韓国の造船会社は、比較的単純な小型のKDX-IIを建造するのにかかった時間と、より大型で高度なKDX-IIIを建造するのにかかった時間がほぼ同じだった。艦船建造を重ねることでノウハウが蓄積されたためだ。
同様に、北朝鮮が5000トン級駆逐艦を進水可能なレベルまで建造するのに1年余りかかったのであれば、今後はさらに早く生産したり、より高度な艦船を同様の期間内に建造したりする能力を獲得できる可能性がある。北朝鮮が海軍力の増強速度をさらに加速させる能力があることを示している。
金委員長は、政権掌握初期から海軍の近代化に努めてきた。北朝鮮の海軍の野心は2021年1月の第8回党大会でより明確になった。金委員長は今年末までに「原子力潜水艦と水中発射核戦略兵器」を建造することを目標として掲げた。金委員長はその後、2023年8月から先月まで15回にわたり海軍と造船所の視察を行うなど、海軍力強化に注力する姿勢を見せた。この時期は北朝鮮とロシアの関係が緊密化した時期と重なることから注目される。
北朝鮮は特に海軍の核武装化を強調している。金委員長は2023年の海軍司令部での演説と新型「戦術核攻撃潜水艦」の視察を通じて海軍の核武装を公式化し、昨年1月には「海軍の核武装化は緊急の課題だ」と強調した。
また、4月に南浦で行われた5000トン級駆逐艦の進水式で、海軍の作戦活動を大洋に拡大することを宣言した。金委員長は海軍の作戦範囲を拡大し、有事の際に朝鮮半島への敵軍の増援部隊派遣を阻止し、地理的制約を受けない先制攻撃能力を保有する必要があると強調した。
北朝鮮の海軍が実質的な脅威となるまでには、ある程度の時間を要する可能性がある。しかし、最近北朝鮮が5000トン級駆逐艦の進水失敗後、わずか15日で再浮揚に成功したことで、設定した目標を達成する能力があることを示したことは看過できない。