前線はスームィ市北方20km圏内、住民には避難命令も

ロシア国防省は13日、ウクライナ東部スームィ州のヤブルニウカ村を含む計6つの村を制圧したと発表した。ロシア軍は緩衝地帯の設置を名目に、同州での攻勢を強化している。
ロイター通信と英紙ガーディアンによると、親ウクライナ系のオープンソース地図を基にした分析で、ロシア軍は過去1カ月足らずでスームィ州の190平方キロメートル以上を占領。現在は州都スームィ市の北方約20km地点にまで迫り、同市は長距離砲や無人機による攻撃にさらされやすい状況となっている。
一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領は12日夜の演説で「スームィ州では我々の部隊が敵を徐々に押し返している」と発言。また、同国大統領顧問ポドリャク氏も「数日以内に状況は変わる」と述べ、ウクライナ軍が戦況を掌握しているとの認識を示した。
ロシア側は、2023年8月にウクライナ軍がスームィ州を拠点にロシア西部クルスクへ攻撃を行ったと主張。それを根拠に、翌年から「緩衝地帯」の必要性を掲げて侵攻を開始している。
現地では避難命令が200以上の村に出され、住民の不安が高まっている。避難民支援団体「フルリトン」によれば、前線は着実にスームィ方面へ接近しており、先週のロケット攻撃では3人が死亡、子ども3人を含む28人が負傷した。
ロシアは「民間人は標的にしていない」と主張するが、スームィ州を含む東部地域では民間人の犠牲が続いている。