南西部5地区の出入国施設を全面停止、帰国は許可

イスラエルとイランの武力衝突が激化する中、パキスタンがイランとの国境を閉鎖した。
16日(現地時間)、AFP通信などによると、パキスタン政府は最近イラン国境に近い5地区の出入国施設を無期限で閉鎖したという。
イラン東部国境に接するパキスタン南西部バロチスタン州の高官はAFP通信に対し、「チャギ、ワシュク、パンジグル、ケチ、グワダルなど国境付近の5地区の出入国施設の運営が全面的に停止された」と述べた。
インドメディアのヒンドゥスタン・タイムズは、これが最近イスラエルとイランが空爆を交換するなど対立が深まる状況で、パキスタンが自国民を保護するための措置だと伝えた。
チャギ地区の国境検問所で勤務するアタ・ウル・ムニム氏も「イランとの出入国は今後の通知があるまで停止された」と付け加えた。
ただし、国境付近での貿易活動は禁止されておらず、イラン滞在中のパキスタン人の帰国も許可された。
アタ氏は「本日、パキスタン人留学生約200人が帰国する見込みだ」と述べた。
パキスタンのイシャク・ダール副首相兼外相は15日、パキスタン人巡礼者450人がイランから避難したと述べ、さらにイラクからも避難が進行中だと明らかにした。
イスラム圏唯一の核保有国であるパキスタンは、最近のイスラエルによるイラン攻撃を受け、「イラン政府と連帯する」との立場を表明した。パキスタンとイランはともにイスラエルを国家として認めていない。
パキスタンのカワジャ・アシフ国防相は「世界はイスラエルの核能力に警戒すべきだ」とし、「イスラエルは国際的な核規範を遵守していない」と批判した。
一部の海外メディアは、イスラエルとイランの武力衝突がさらに拡大した場合、パキスタンがイランを軍事的に支援する可能性に言及したが、パキスタン当局は「道義的・外交的に連帯する」との立場を繰り返し表明している。
イスラム教スンニ派が多数を占めるパキスタンは、シーア派が多数のイランと900kmを超える国境を接している。両国は宗派対立や地政学的関係などにより、協力と対立を繰り返している。
昨年1月には、イランがパキスタン国内の自国スンニ派分離主義武装組織の拠点をミサイル攻撃し、2日後にパキスタンもイラン南東部の国境地帯を空爆して報復したが、すぐに和解に至った経緯がある。
一方、イスラエルはイランの核兵器開発阻止を名目に、13日にイランの核・軍事施設を奇襲攻撃し、イランも直ちに報復攻撃に乗り出し、中東に緊張感が高まっている。