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2025年06月23日月曜日
ホームニュース【国際社会が分裂】中露はイランを擁護、欧米はイスラエルの自衛権を支持…中東危機で対立鮮明に

【国際社会が分裂】中露はイランを擁護、欧米はイスラエルの自衛権を支持…中東危機で対立鮮明に

引用:ニューヨークタイムズ

米トランプ政権が軍事力でイランの核施設3か所を奇襲攻撃したことを受け、世界各国は相反する立場を示している。

国際連合は懸念を表明し、米国を非難した。国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長は21日(現地時間)、米国によるイラン核施設への攻撃について「すでに危機的状況にある地域での危険な戦争拡大であり、国際平和と安全保障に対する直接的な脅威だ」と懸念を示した。

グテーレス事務総長はこの日、声明を発表し「米国がイランに対して武力を行使したことに深刻な懸念を表明する」と述べた。さらに「この紛争が急速に制御不能な状態に陥るリスクが高まっている」と指摘し、「これは民間人だけでなく、当該地域さらには世界全体に壊滅的な結果をもたらす可能性がある」と強調した。また「加盟国に対し、緊張を緩和し、国連憲章およびその他の国際法規範に基づく義務を遵守するよう求める」と付け加えた。

中国政府の立場を反映する官製メディアは、米国が緊張を高める違法行為を行ったとして批判の声を上げた。 中国国営紙「チャイナ・デイリー」は22日、緊急論評を発表し「フォルドゥ、ナタンズ、エスファハーンのイラン核施設を標的とした米国の一方的な軍事攻撃は無謀な緊張の高まりであり、明らかな国際法違反だ」と指摘した。

また「イスラエルとイランの間の不安定な紛争への直接的介入は、イランの主権を侵害し、国連憲章の根本原則に違反するものだ」と主張した。同紙は「このような一方主義は、ルールに基づく国際秩序を弱体化させ、『力こそ正義』という危険な前例を作り出す」と強調した。

チャイナ・デイリーは「交渉による解決を目指す全過程を軌道から外す可能性が高い」と指摘した。また「米国の攻撃はイスラエルが状況を逆転させるのに役立つように見えるかもしれないが、結局のところ事態をさらに深刻化させるだけだ」とし、「さらなる紛争は平和とエネルギー安全保障を脅かし、主要な海上輸送路を妨害することで、脆弱な世界経済に衝撃波を与えることになる」と付け加えた。

ウクライナ侵攻でイランの武器供給により一息ついたロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、21日のインタビューでイランを擁護した。プーチン大統領は「イランは核兵器開発を追求していないと繰り返し宣言している」とし、「国際原子力機関(IAEA)も核兵器開発を示唆する証拠や兆候を持っていない」と主張した。

一方、イランの核開発に対する制裁に関して、欧米諸国は概ねイスラエルの攻撃が自衛権の行使に該当すると見なしている。ただし、イランの核開発能力がイスラエルの先制攻撃を正当化するほどの差し迫った安全保障上の脅威とは確認されていないとの反論もある。

先日、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は今回の空爆について「イスラエルが我々全員のために行う汚れ仕事だ」と発言し、物議を醸した。ドイツ政界では、メルツ首相がイスラエルの国際法違反の可能性を自ら示唆しつつ攻撃を正当化する発言だとの批判が出ている。

ドイツのアンゲラ・メルケル前首相は、イスラエルのイラン攻撃を国際法違反とは断定できないと擁護した。 メルケル前首相は21日、日刊紙「ノイエ・オスナブリュッカー・ツァイトゥング(NOZ)」のインタビューで「(イスラエル)国家の存立がイスラム組織ハマスやイランによって脅かされるならば、これは国際法上そう簡単に答えられる問題ではない」と述べた。

メルケル前首相は「一方がイスラエル国家を消滅させると宣言できるのであれば、イスラエルもそれに対抗して自衛する権利がある」とし、自国を脅かしたことのないウクライナを侵攻したロシアとは状況が異なると主張した。

13日から非核化を要求しイランを攻撃していたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、米国のドナルド・トランプ大統領の軍事介入に感謝の意を表した。ネタニヤフ首相は21日の演説で「米国がイスラエルと完全に協力してイランの核施設を攻撃した」とし、「作戦完了直後にトランプ大統領から電話があった」と述べた。さらに「私を含むイスラエル国民全員が感謝している」とし、「今夜、トランプ大統領と米国は大きな力を示した」と強調した。

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