
「国民的MC」が初搭乗 インドネシア、ドローンタクシーの有人飛行に成功
インドネシアで将来的に運航が予定されているドローンタクシー「EHang 216-S」が、初の有人試験飛行に成功した。試乗者として選ばれたのは、著名MCであり実業家のラフィ・アフマド氏。彼の搭乗シーンは、同国の都市型モビリティの未来を象徴する出来事として注目されている。
試験飛行は25日(現地時間)、バンテン州タンゲランの観光名所「PIK2(パンタイ・インダー・カプック2)」で行われた。アフマド氏は「インドネシア国民的MC」と称され、総資産は約1兆300億ルピア(約92億1,039万円)に達する著名人。現在は大統領特使として、若者や芸術家の支援にも携わっている。
EHang 216-Sは中国のeVTOLメーカー「億航智能(EHang)」が開発した電動垂直離着陸機。これまでに行われた飛行はすべて無人だったが、今回は初の有人飛行として、インドネシア運輸省の航空安全局から正式に許可を受けて実施された。
航続距離35km、コストはヘリの約1/10
この機体はAIによる航路制御、自律飛行技術(AAV)を採用し、操縦士なしで飛行が可能。最大時速130km、最大飛行時間は21分、航続距離は最長35km。積載可能重量は最大220kgで、機体価格は約53万5,000ドル(約7,738万4,933円)。バッテリー1回の充電コストはわずか30ドル(約4,339円)で、従来のヘリコプターと比較して運用コストが圧倒的に低い。

2028年から新首都で本格導入へ
EHang 216-Sは、インフラ整備が十分とは言えないインドネシアで、次世代の交通手段として期待されている。政府はカリマンタン島で建設中の新首都「ヌサンタラ」で、2028年から本格運航を開始する計画だ。
前大統領ジョコ・ウィドド氏は、ジャカルタの過密や地盤沈下問題を受けて、ヌサンタラに2045年までに段階的に首都機能を移転する構想を打ち出した。現大統領のプラボウォ・スビアント氏は、まず2028年までに行政・立法・司法の各機関を移転させる方針だ。

EHang 216-Sの導入を担う現地企業「プレステージ・アビエーション」のルディ・サリム会長は、「今後も試験飛行を重ね、この技術をインドネシアの未来の交通インフラとして定着させたい」とコメントしている。
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