
スコット・ベセント米財務長官は、7月8日に期限を迎える相互関税の猶予延長について明言を避け、交渉カードとして温存する姿勢を示した。
30日(現地時間)、ブルームバーグTVのインタビューでベセント長官は「延長を決めるのはドナルド・トランプ大統領だ」と述べ、「どの国にも延長をほのめかすつもりはない」と強調した。
米政権は4月2日に国別相互関税を発表し、1週間後の4月9日から90日間の猶予を設けて主要18カ国と交渉を進めてきた。猶予は7月8日に終了し、期日までに合意できなければ7月9日から再び相互関税が適用される可能性が高まる。
ベセント長官は「期限が迫るほど各国への圧力が増し、交渉は加速する」と述べた一方、「誠実に協議する国もあるが、抵抗が続けば4月2日の状況に戻る点を認識すべきだ」と警告した。
交渉対象の18カ国のうち、いくつが7月9日までに妥結できるかとの質問には「推移を見極める必要がある」と回答し、数字を明示しなかった。
市場では、米政権が曖昧な姿勢を貫くことで最後の数日間で譲歩を引き出す「チキンゲーム」が激化すると見る向きが多い。猶予再延長がなければ、自動車・農産品を含む幅広い品目で関税が跳ね上がり、世界貿易の混乱が避けられないとの懸念も強まっている。
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