
日米間の関税交渉が平行線をたどる中、交渉期限が迫り、日本政府は大幅な関税率引き上げだけは何としても阻止しなければならない切迫した状況に置かれている。
米国のドナルド・トランプ大統領は1日(現地時間)、日本との合意が困難との認識を示し、相互関税率を30~35%まで引き上げる可能性にまで言及した。日本政府が自動車など分野別関税の撤廃を求めてきた防衛線が揺らいでいるとの危機感が高まっている。
3日の現地メディア報道によると、トランプ大統領は1日、大統領専用機内で日本を念頭に「合意が実現するか疑問だ」と述べた。対日相互関税率を30%または35%まで引き上げる可能性があるとの警告も加えた。当初は基本税率10%に、現在中断中の相互関税税率14%を加えた24%程度だった。
トランプ大統領の日本批判は6月末の第7回日米閣僚協議が決裂した後、本格化した。米フォックス・ニュースのインタビューで「『親愛なる日本様、自動車には25%の関税を課す』という手紙を送る」と発言し、SNSを通じても「米不足と言いながら米国産米は受け入れようとしない」と露骨に不満を表明した。
米国は当初、日本を「最前線にいる」と評し、早期の成果が期待できる交渉相手国と見ていたが、現在は「強硬な交渉相手」と態度を変えた。期待が大きかった分、失望も深いとの分析がある。
石破茂首相は前日、日本記者クラブ主催の党首討論会で、立憲民主党の野田佳彦代表からトランプ大統領の発言への対応を問われ、「関税よりも投資が重要だ」と繰り返し強調した。日本製鉄の米USスチール買収例を挙げ、「日本は米国内で世界最大の投資国であり、世界最大の雇用を創出している。他国とは異なる」と述べた。
交渉に参加している外務省の幹部は「後退しているという感覚はない」と説明した。トランプ大統領の最近の強硬発言には、米国内の政治事情が背景にあるとの見方も示されている。しかし、日本政府の防衛線は徐々に後退せざるを得ないとの見方が多い。
日本は4月の交渉開始以降、対米投資拡大や経済安全保障協力パッケージを提示し、自動車など分野別関税と相互関税の撤廃を要求してきた。政府内部では「税率引き下げ線での妥協も可能」との意見と同時に、相互関税の中止措置が延長されるとの楽観論も存在していた。
今や交渉期限の9日までに、30~35%の相互関税発動だけは何としても阻止することが最優先課題になっている。ある外務省の幹部は「パッケージは十分に更新してきた。さらに修正して米国が満足するなら、既にそうしているはずだ」と述べ、これ以上の代替案が容易ではないとの認識を示した。
トランプ政権は分野別関税と10%の基本税率を重視する点を早くから日本側に伝えてきた。日本側はそれでも撤廃が可能と期待して交渉を進めたが、6月にカナダで開催されたG7首脳会議直前に両者の認識の相違が明確になったと政府関係者は伝えている。
交渉を再び軌道に乗せるのは容易ではないと見られる。参議院選挙期間と相互関税の発動予定日が重なることで、農業や自動車分野などでの追加譲歩を避ける雰囲気が漂っている。
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